HIKING BOOTS “19” / GUIDI

100年以上の歴史を持つ世界屈指のレザータンナー”CONCERIA GUIDIE ROSELLINI”社が、2005年よりスタートさせたオリジナルブランド”GUIDI”。

数年前までは一部の熱狂的なファッション層がユーザーの中心でしたが、最近は他ブランドとのコラボなども実施し、ジャンルレスに注目を集めています。

ブランド創業当初から作り続けている定番アイテム、一例を挙げるとバックジップブーツやクラシックダービーは根強く人気がありますが、それと合わせて当店が常にプッシュしている一足をこの記事でご紹介。すでにお持ちの方も是非お楽しみくださいませ。

HIKING BOOTS “19”

本格的な登山靴の製法を用いながら、良い意味でその武骨さを削ぎ落した”グイディ”のハイキング。

もちろん見た目にエネルギッシュなボリュームがありますが、どこかムードはシックで上品。

王道のアメリカモノには無い、洗礼された格好良さがこのブーツの魅力です。

アッパーの大部分は一枚革で形成され、背面のみ切り替えたミニマルデザイン。余分なシームが入らず全体がスッキリ映ります。

縫い合わせを僅かに抑えることで「足型の特徴」・「歩き方の癖」などに合わせて革が馴染むという機能的メリットもあり、クラシックなトレッキングブーツの堅牢な印象が良い意味で覆ります。

アンクルをカバーするクッション部は。心地よく足と密着するモチっとしたタッチで不快な摩擦を防ぎます。

フロントのタンも厚くそして柔らかく仕上げているので、足首回りは360°しっかりサポートしてくれます。

シューレースは上部2ケ所はフック型になっており、着脱もスムーズ。

締め具合の微調整もしやすく、ここをしっかり結んでいただけば、足に吸い付くようなフィット感をお楽しみいただけます。

もちろんある程度の重量はあるものの、足と革がマッチするとその重みは歩く力に変わり、歩行もかなりスムーズです。

このモデルもその他グイディのシューズと同じく「製品染め」によって染色が行われています。

樽型の巨大な装置に形の出来上がった複数のシューズを同時に入れ、液体染料とともに回しながら仕上げるユニークな染色方法「タンブラーダイ」。

これにより革の繊維が良い具合に解れ、金具などには錆や変色が現れます。

作り手が意図的に行う「ユーズド加工」はあくまで人の着用によるエイジングを模して手が加えられますが、グイディの加工はそうした意図とは違う偶発的な美学に基づき製品を作り上げています。

ソールは安心安定のヴィブラム社のものを採用。

元々ヴィブラムソール誕生のきっかけは、創業者”Vitale Bramani”氏の悲しい過去の経験にあるそうです。

会社設立以前、当時登山家であった同氏はアルプス山脈での遭難事故で友人6人を亡くしてしまいます。

その事故の原因とみなされたのが、登山に適さない靴の着用。そうした事故を二度と起こさないため、彼は登山用ソールの開発を決心し、今や世界トップソールメーカーと登り詰めたのです。

人の命を守るために作られたゴムソール。それはもちろん滑りにくく、言うまでもなく強度にも優れています。

HIKING BOOTS “19”  / GUIDI

履きこなすのアイデアは、カジュアルなデニムから、シックなブラックスタイルまでジャンルレス。

足元にボリュームを持たせたい時に軽い気持ちで合わせていただくと、大変自然な仕草でコーディネートが楽しめます。

3年・5年とじっくりと履き込んでいただきたい名作。

毎日履くようなデザインでは無いかもしれませんが、月に数回は履きたくなる心地よい距離感で、長くご愛用いただきたい1足です。

SHELTERⅡ 山崎

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“+” studded q buckle med belt – EQ2C – / m.a+

デザイナー”マウリツィオ・アマディ”氏の独創的なセンスとアイデアからなる当店の主力ブランド”m.a+”(エムエークロス)。

自身の名前の頭文字”m.a”。そして人と洋服の交わりを十字に意味付けた”+”を冠に、使えば使うほど愛着の湧く素晴らしいファッションプロダクトを常に作り続けています。

ブランドの言わば名札とも言える”+”は、ほとんど全ての製品に何らかの方法でマークされています。

洋服にはステッチもしくはシルバーで埋め込まれているケースが多く、時には縫い合わせなどのパターニングで記される事も。

ロゴマークという認識とはやや異なりますが、このブランドのアイテムを着る、使うにあたってクロス(十字)は切っても切れない存在です。

“+” studded q buckle med belt / m.a+

そんなブランドの重要なシグナルが看板アイテムに昇華したのがこちらのベルト。

元々製品として定評のある同ブランドのレザーベルトに”+”スタッズをこれでもかと飾り付けた非常にインパクトのある1本です。

“m.a+”のファンの方はもちろん、その他のブランドを中心に着られる方もこ「れだけは欲しい」とお買い求めいただくケースも多く、このキャッチーな装飾感が付けると癖になります。

今回撮影しているSサイズのもので”+”スタッズの数は計28。(シーズンで異なる場合あり。)

全てシルバー925を使用した、たいへん贅沢な逸品です。

メインは厚さ3mmのカウレザー素材品番”GR3.0″。牛の背骨の辺りの丈夫な革を使用し、耐久性にも優れています。

ブランド側はこのスタッズを”ステイプル”とも表現しており、裏を返すとその呼び名の通りステイプル留めのように仕上げられています。

実際はハンマーを使い一箇所ずつ手打ちされており、一本仕上げるだけでも大変長い作業時間が必要です。

バックルの形状は至ってシンプルですが、職人が手打ちで仕上げたクラフト感が魅力。

風合いに独特の癖を持つウエアと合わせることも想定し、はっきりと色味が確定しない中間色ともマッチします。

写真のように剣先をおろしてスタイリングのアクセントにしていただくのがこのベルトのセオリー。着用スタイルもいくつかアイデアがございますので、いくつかご紹介いたします。

写真のように一か所スリットが入っており、ベルトの剣先を通してお使いいただけます。

サイドに自然にベルトを流すことができ、スタイルのさりげないアクセントに。

剣先をフロントに下げる場合は、上の写真のように裏に一度回していただくのがベター。

これをせずに着用すると、ベルトの表裏が反転してしまいます。

新品の段階で写真のように複数の通し穴が準備されていますが、追加で穴開けが可能なため、まずはご自身のお好みの全長でサイズを選んでいただくのがお勧めです。

このベルトを1本付け足すことで、トップス・ボトムス間の丈のバランスが取り易くなるため、使い始めるとほぼ毎日つける生活必需品となりかねません。

上の写真は私が約3年使用したもの。購入して以来ほぼ毎日のように着けています。

店頭にご来店のお客様から反応をいただくことも多く、あまり”m.a+”をご存知でない方にとっても、何かと目につくアイテムのようです。

右が新品。左が3年使用の同モデルになります。

馴染みで硬さが取れてくると、より着用像が自然に。

使っていくと革に含まれる油分によって色味がはっきりと、そして光沢も良い具合に出てきます。

この商品の人気の秘訣はあくまで「ベルト」である点にあるように思います。

ウエストを閉める道具であるが故に毎日つけることに違和感がなく、その延長線上にファッション性やブランド愛などの付加価値がプラス。

少しアンバランスかと思えるトップス×ボトムスの組み合わせも、このベルトが良い仲人をしてくれて、ご自身の個性を活かしたスタイルがいくつも完成するかと思います。

このベルトが主役ではなく、このベルトが貴方のトレードマークになるように。

ぜひご自身の魅力の引き立て役として、この逸品をお選びいただけますと幸いです。

“+” studded q buckle med belt / m.a+

サイズ選びのご相談などもどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

皆様のご来店・ご利用を心よりお待ちしております。

SHELTERⅡ 山崎

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SCARSTITCHED LEATHER JACKET / CAROL CHRISTIAN POELL “LM/2498 CORS-PTC”

10年以上前にこの形を完成させ、今もデザインを変えず生産が続いている”キャロルクリスチャンポエル”の最高傑作「スカーステッチドレザージャケット」。

世界中のファッショニスタ、アーティスト、ハリウッドスターなども愛用するこの1着は、”CCP”の先鋭した世界観、芸術性が強く反映されながら、現実的なスタイリングの幅広さも有しています。

将来的にライフスタイルが変わろうと、いつまでもマイクローゼットに掛けておきたい宝物。そんな洋服をお探しの方にキャロル氏が生み出した名品をこの記事でじっくりご紹介できればと思います。是非ご覧くださいませ。

SCARSTITCHED LEATHER JACKET / CAROL CHRISTIAN POELL

“LM/2498 CORS-PTC”

Color:BLACK (10)

首元にしっかりと襟のついたこちらの品番”LM/2498″。日本国内では「襟付き」という愛称も耳にすることがございます。

もう一つの定番傑作レザージャケット”HIGHNECK LEATHER JACKET”と並ぶ”CCP”の2枚看板。

何か受賞歴などがある訳ではございませんが、愛用者の方々からの「世界一」と称する声も少なくありません。

ジップの開閉は身頃中央に位置付けたシングルタイプ。

アームホ-ルは袖筒を前面に出し、人体構造に合わせてパターニングされています。

肩から袖先にかけてカーブする人影のような輪郭線。エルボーにはスムーズな腕の曲げ伸ばしが出来るよう、立体的な切り替えをデザイン。

袖付けはフロントがセットインなのに対し、背はバックラグランという複合的なスタイル。

最もテンションの掛かる肩から背中、肩甲骨周りの可動域をなるべく広げ、レザーの伸びや馴染みが着用者の身体に沿って現れる合理的な設計となっています。

「革に新たな命を吹き込む」というポリシーのもと生み出される”CCP”のレザー製品は、人の体が中に入り躍動するその瞬間が到達点なのです。

前開きにはプラスデザインで4つのフックが取り付けられています。

非常に小さいながらも目に付くアクセントは、馴染む前の革を育てる段階でも非常に有効。時にはジップを閉めずにフックだけで着用頂くことも可能です。

ファスナーは上下それぞれにスライダーのついたダブルジップ。シルエットの調整、スタイリングのアレンジも様々。

袖先のデザインにも、フロント同様のフックを採用。

このアイテムはウエアとしての縫製等を全て済ませた後から染色を行う「製品染め」というプロセスを取っているため、金具にはくすみや錆が現れます。

この「製品染め」によって最も影響を受けるのはもちろんレザー。革を染料に漬け込み不均一な伸縮・硬化を起こすことで佇まいに奥行きが生まれます。

染色後の乾燥のプロセスはシルエットの再形成、袖のシワ入れなども同時に行われるため、パターニングだけでは表現しきれない感覚的な仕上げを実現。

この意図的な経過により、革の持つ奥深い表情に金属が自然に溶け込み唯一無二の革製品が完成を迎えるのです。

両サイドのポケットは内側にマチを設けたL字型。ジップが前傾するかのように取り付けられ、手を入れ易いのみならず、脇から裾にかけてのラインを立体的に見せています。

内側は両胸にジップポケットが付いており、ライナーはパンチングが施されたコットン素材。

アームにもこの裏地が使われており、袖通しは滑らか且つハリがあって丈夫な印象です。

SCARSTITCHED LEATHER JACKET

モデル 175cm 60kg

着用サイズ44

ここからは実際の着用画像もご覧いただければと思います。

こちらのスタイルは”CCP”の定番ニットセーターとコーディネート。

アーム周り、身幅にやや余裕を設けたシルエットになるため、秋冬は厚手のインナーを着込みやすいのもこのモデルの長所です。

今回この記事でご覧頂いているモデルは、ブランド内で最も定番的なホースレザー、素材品番”CORS”を使用しています。

野性的な力強さときめ細かで美しい表情を併せ持つこちらの馬革は、程よい厚みと弾力があり油分も多く含んで丈夫。クリームなどのケアを日常的に行う必要もございません。

大変扱いやすく、いつまでも美しいとても優秀なマテリアルです。

実際に袖を通すと、腕とレザーの間に生まれたスペースにも気分高まるシワが生まれます。

バックスタイルは両端に反り上りをつけ、パンツとトップス、インナーとの調和が意識されています。

重厚な革だからこそなるべく角は作らずスムーズに。

細部まで観察するとこうしたトリック、デザインの引き算が肝となっているのです。

細かい部分にまで感覚を及ばせて生み出される”キャロルクリスチャンポエル”の作品の数々。

中でも革製品は染色工程で数か月の日数を費やすため、1年で生産される数もごく僅かに限られます。

スマホで検索すれば画像はいくらでも手に入りますが、この一着を手に取り、空間を供に瞬間は大変貴重で特別。

私がいくらここで熱く語ろうと、実際にこのレザーに袖を通す体験には全くもって歯が立ちません。

着ると感動できる服。「身に纏う芸術作品」と言えば少し大げさですが、それほどに感性揺さぶる本物の逸品です。

SHELTERⅡ 山崎

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BORIS BIDJAN SABERI “P11”

“P11” PANTS / BORIS BIDJAN SABERI

素材: F1939  (COTTON 98% LYCRA 2%)

複雑なパターニングに重きは置かず、ミニマル思考でシルエットの美しさを突き詰めたスリムパンツ”P11″。

ボリスのコレクションの花形アイテムの影で根強い人気を誇る名品です。

代表作”P13″を手に入れたあとは、この”P11″をチョイスするのが王道パターン。この記事で少し細かくご覧頂ければと思います。

P11 PANTS / BORIS BIDJAN SABERI

バランスの取れた股上と、すっきりしたシルエットが魅力の定番モデル”P11″。

ブランド内で最も人気の高いコットン×ポリウレタンの素材を使用し、履きやすさにも定評のある1本です。

複雑なカッティングをあえて多くは設けていないこちらのモデル。サイドポケットは縦型ですっきりと備え付けられています。

ブランドのボトムス群の中では綺麗所に属されるデザイン。

生地には高熱処理されたビニールとニッケルのコーティングが加わり、物足りなさは感じさせません。

前開きはボタンフライの仕様。ウエストは2つのボタンとドローコードで調節が可能です。

裏側の縫い合わせが丁寧にパイピングで仕上げられ、耐久性にも優れています。

股上を下げることで生じる可動域の制限を解消するため、股下には別生地でスペースが設けられています。

緻密な計算によるこのポジションのパターンは、”P11″の美シルエットを構築する上でのコア。たるみを抑え綺麗に落ちるヒップのボリュームがポイントです。

もう一つ綺麗なシルエットを引き立てているポイントが左右の太腿辺りまで深く入れられたカット。

腰回りからのボリュームを軌道修正し、足首までをスッキリと見せてくれます。

バックスタイルもポケットは内入れにしスッキリ。

外付けのカジュアルなポケットスタイルと違い、ジャケットやシャツなどとの組み合わせも想定できるクリーンな仕上がりにも注目です。

ウエスト部分は別生地で切り替えず、また背面の生地を少し上に広く設けることで履いた時のホールド感がとても心地よいです。

P11 PANTS / BORIS BIDJAN SABERI

モデル 175cm 60kg

着用サイズXS

実際に着用すると生地のストレッチによりストレスはほぼ皆無。溜めた裾にはパワフルなシワも加わり、ワイルドなブーツなどとも上手くバランスを取り持ってくれます。

長く愛用できるスリムパンツをお探しであれば、間違いなく”P11″がマストバイ。是非ご検討くださいませ。

ご質問などもございましたら、どうぞお気軽にお問い合わいただけますと幸いです。

皆様のご来店、ご利用を心よりお待ちしております。

SHELTERⅡ 山崎

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tower RUCK / cornelian taurus by daisuke iwanaga

tower RUCK  / cornelian taurus by daisuke iwanaga

2015年春夏コレクションにて発表された”コーネリアンタウラス”の名作「タワーリュック」。

誰もが目にしたことのあるリュックサックの典型でありながら、どうも他とは違って風貌が良く、使い心地にも定評がございます。

今も根強い人気を誇るメイドインジャパンの逸品。本日は改めて魅力を細部までご覧くださいませ。

このバッグが初めてリリースされた2015年春夏コレクションのシーズンテーマは「塔と城壁 “TOWER and WALL”」。

イタリアトスカーナ地方に位置する町、”サン・ジミニャーノ”からインスピレーションを得てこの作品は製作されています。

中世の面影を色濃く残したその町は城壁に囲まれており、13世紀ごろに建てられた14の塔が今も現存する世界文化遺産。

歴史的な重みを感じる圧巻の街並みは、写真で見ただけでも思わず息を呑んでしまいます。

まず目に入るのが正面のポケット。塔の立派な門構えのごとく、少し大きく主張的にデザインされています。

ファスナーは左右両側から開閉でき、レザーの持ち手も引きやすい長さに設定。

シチュエーションや利き手に関わらずスムーズに使用できるだけでなく、デザインが左右対称になることも意識されています。

スマートフォンが縦に入る高さに加えてマチも4cmあり、両手を入れても余りが出るほど充分なスペースが設けられています。

余裕を持って中身が入れられるとシルエット膨らまず、立ち振る舞いも非常にスマート。重要なポイントです。

左右正面どこから見ても美しいのはデザイナー岩永氏の拘りの一つ。多方面から眺められるタワーのように、四方八方隙の無いデザインで作られています。

両サイドの外に向けて反りあがったポケットは、カバンを背負う側から手が入りやすいように設置。外部からはセキュリティー的に手が入れにくくなっています。

曲線的な口のカットは革に馴染みが出た際に、全体像が自然な見た目になることを想定。

深さは17cmほど設けており500mlのペットボトルも収納可能。ハンカチなども奥までグッと入れ込める印象です。

メインの収納は左右にジップを大きく開き、ゆったりとお使いいただけます。

コットンの裏地が張られた内装はジップポケットと、ノートPCなども入れられるボタンベルト付きのスロット。

背面にはクッションが入り、硬い機械類などを収納した際の背中への負担を大きく軽減してくれます。

身体へのタッチが優しく、背負い心地は病みつきもの。身体になるべく近づけてお持ちいただくと、荷物の重みが感じにくくなります。

ベルトの長さは段階的に調節が可能。取り付けも耐久性を意識して工夫が施されています。

トップにはアイコンの編み込まれたハンドル。

刀の持ち手の部分をモチーフにしたこのオリジナルパーツは、握ると少し軋みがありグッと力が入ります。

tower RUCK  / cornelian taurus by daisuke iwanaga

使用している素材「カウミネラルオイル」は、油分を多く含み、外見からも感じ取れるモチっとした質感が魅力の牛革。

80年以上の歴史を持つ世界的にも評価の高い「栃木レザー株式会社」がタンニングを担当し、長くブランドの看板素材として多くの作品に採用されています。

写真の状態から革が徐々に馴染んでくると、各々角が良い具合に取れてより革物としての躍動感が出てきます。

それでいてクリーンさが損なわれないのがこのバッグのセールスポイント。

表面のシボも深まることで光沢が加わり、あくまで上品なバックとして長くご愛用をいただけます。

tower RUCK  / cornelian taurus by daisuke iwanaga

SHELTERⅡ 山崎

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“taichimurakami” 3 layer nylon.

年々ファッションアイテムとしてのアピールが増えているナイロン製品。

開発技術の進化、ファッション層をターゲットにしたアウトドア業界の取り組みなど理由は様々ですが、

[ナイロンウエア=道具]と断定する考え方はもう社会には残っていないのかと思います。

私自身もランニングや登山が趣味でウエアもよく見ますが、機能・デザインともに優れたものばかりで格好悪いものを見つけるほうが難しいスポーツギアの戦国時代。

そんな選択肢が無数にある中、当店には「こんな製品は他にありません」と自信をもってお伝えできる手の込んだナイロンウエアがございます。

本日は”taichimurakami”の”3 layer nylon”シリーズをご紹介させてください。

若くしてブランドを立ち上げ、当店とも長いお付き合いになっているメイドインジャパンブランド”taichimurakami”。

まだ30代の村上氏ですが、服に関して造詣は底知らず。

服作りに狂った程のこだわりを持つ彼の作品は、当然スタイリングを並外れた玄人に仕立て上げてくれますが、

もの一つを作る上でのテーマやプロセスにも天才的なアイデアが織り込まれていて服好きの心に刺さります。

今記事の主役となる「3レイヤーナイロン」も制作にかなりの手間をかけたオリジナルファブリックです。

いわゆる3レイヤーというのが3層構造のナイロン素材。

メンブレンと呼ばれる非常に薄く柔らかい膜のような素材がベースとなっています。

水は通さず水蒸気ならギリギリ通す目に見えないほど小さい穴が無数に開いており、ウエアにすると体は濡らさず蒸れは逃がすという画期的なファブリック。

しかしこのメンブレンだけで洋服などに用いるには少し柔らかすぎるため、両面を別の生地で挟み込みます。

これが3レイヤーと呼ばれる所以。表側は防水などのポテンシャルを引き上げ、内側は肌当たりなどに配慮。防水と透湿が両立しアウトドア製品などでも最上位とされる高品質素材となっているのです。

その特性の裏をうまく突いたのが”taichimurakami”のオリジナル3レイヤーナイロン。

なんと表面の防水機能を一度剥がし、中心生地に後染を施すというアプローチ。染色後は再び3層の状態に戻します。この工程には非常に高い技術とリスクが伴い、もちろん追加コストも生じます。

この手間を惜しまず多くのリスクをクリアすることで通常のナイロンでは成しえないランダムな色ムラが生まれ、洋服の風合いとしてデザインに浸透。

均一でないという点は量産の既製品で考えるとエラーと判断されてしまいますが、ファッションとして見ると革物やデニムと同じく味として楽しむことができるのです。

mountain parka origami sleeve

ここからは実際に商品を見ていきましょう。

こちらはナイロンウェアの王道「マウンテンパーカ」。ブランド初期から作り続けているタイチを代表するアイテムの一つです。

当初からリブにヘヴィージャージを用いたり、すべての金具にシルバー925を使用したりとファッション的アプローチも目立っておりましたが、”3 layer nylon”の誕生でデザイン性もさらに向上し、なおかつ機能面も進化いたしました。

形は一見すると基本に忠実ですが、実際の構造を見てみると非常に奇抜で入り組んだパターンで製作されています。

村上氏が編み出したいくつかの独自製法。その中でも代表的な”(UN)INTERCEPTION”は縫製の手順やパーツ取りにも手間をかけ、着心地の最適化と服作りの芸術性を突き詰めたオリジナルテクニック。

量産的な考えが一切感じられない設計により、この一着はその他多くの同類項から距離を取ります。

high neck coat origami sleeve

こちらはジップタイプのハイネックコート。

ロング丈の醍醐味と言える裾までの流れがナイロンでうまく現れており、デザイン性の強いアイテムとの組み合わせも難なくこなします。

この生地は防水透湿だけでなく、風や汚れの付着も最小限に抑えるため、様々な季節や環境で着用が可能です。

半袖から厚手のニットまで合わせられる着回しの良さもこのアイテムの魅力と言えるでしょう。

work blazer origami sleeve

こちらはブランド定番のジャケット”work blazer”。

ウールなどで作るとクラシックに仕上がる人気のブレザーですが、”3 layer nylon”で仕立てたモデルも非常に人気があります。

後染めによるムラと硬さの少し取れた風合いで天然繊維さながらの自然体を表現。

恐らく真っ新なナイロンを使用すると、ハイテク×洋服のいかにも今っぽい雰囲気に仕上がるかと思いますが、こちらのジャケットはもはや渋さすら感じさせてくれます。

綿や麻など日々変化の出る素材との相性も素晴らしく、その部分では一般的なナイロンと圧倒的な差が開きます。

裏の縫い合わせ部分にはシームテープをつけた防水仕様。

もちろんのこと軽量で、雨にも強いとなるとかなり心強く感じるのではないでしょうか。

この1着を手に入れるとお持ちのいくつかのジャケットの立場を奪ってしまうかもしれません。

mountain parka origami sleeve

こうしたアウトドアミックスもひと昔前は上級者のテクニックでしたが、今は完全に市民権を得ているかと思います。

異素材との組み合わせや外しテクで生まれる違和感などが、一般的にも個性として認められるようになった昨今。

要はなんでもありな世の中ではありますが。ロゴの入った大手アウトドアブランドのウエアに、クタクタに仕上がったリネン素材のシャツや、履き込んで色も大きく変化したヘヴィーコットンのパンツなどを無理に組み合わせる必要はないかと思います。

そこに目をつけて開発されたのがタイチムラカミの”3 layor nylon”。

妥協を一切許さない服オタクに向けた唯一無二のナイロンウエアと言ってしまって問題ないでしょう。

必要なものだけあれば生きていける。今のコロナ禍によって多くの意味不明な礼儀やマナーは淘汰され、服選びにおいても非常にミニマルな消費が実現するようになりました。

便利なもの、使いやすいものが簡単に手に入り、それを利用することに周りの目を気にする必要は特にありません。

そんな現代において「娯楽」とはいったい何なのか、モノにこだわる理由について改めて考えた方も多いのではないでしょうか。

人の手だけでは絶対に作れないハイテクものに歩み寄り、あえて人の手で細工する。

“taichimurakami”の取り組みには非常に現代的な職人観を感じます。

昔から変わらない老舗の職人技術はもちろん最高で、時代の流れが加速するほどその価値は高まりますが、その流れをうまく読み、自己表現を続ける若手デザイナーの存在も服好きの私たちは無視することはできません。

両者の価値を理解し、自分に合わせて選ぶ楽しさこそ、我々現代人に与えられた贅沢なのではないかと私は考えています。

昔ながらの頑固な職人像と、今を生きる現代的な人物像が交差する唯一無二のファッションブランド”taichimurakami”。

非常に贅沢で刺激的な作品ばかりが当店にも並んでいます。

是非ご興味お持ちいただければ幸いです。

SHELTERⅡ 山崎

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HIGH NECK LEATHER JACKET / CAROL CHRISTIAN POELL “LM/2599 CORS-PTC”

10年以上前にこの形を完成させ、今もデザインを変えず生産が続いているキャロルクリスチャンポエルの最高傑作「ハイネックレザージャケット」。

古くからのファンも納得させ続け、なおかつ新たなファンも増やし続ける名作の「価値の持続」は、ファッションが商業的に過激な進化を求めることに疑念を抱くキャロル氏が出した結果の一つと言えるでしょう。

ブランド側のコマーシャル活動は一切なく、世界でも限られた販売店とファンの熱狂のみで名を馳せた究極の1着。

こうした名品を取り扱えることに私自身も感謝しながら、店頭に現品がある間に情報を残せたらと思います。

HIGH NECK LEATHER JACKET

LM/2599 CORS-PTC

COLOR : BLACK (10)

首をぐるりと囲うように角度を付けて作られたネックデザインを起点に、このジャケットは組み立てられています。

前側にやや重心をかけたアームの取り付けや、肩甲骨から脇下付近のタイトなライン。その他細かいディティールも体の動きを意識した構造となっています。

着用時、特に革が身体に馴染んだ頃合いには、布帛製品では表現が難しいはっきりとした曲線美が各所に現れ、所有者にとって他に替え難い逸品に。

そうした狙いがあるが故に、最初は革もハードで体を締めるような圧を感じますが、世界最高峰と言われる作品が徐々に自分に懐いてくる喜びは、なんとも貴重で刺激的です。

正面のダブルジップは斜めに走ります。

角度を極端につけていないため、流れは変形的にはならずナチュラル。

明らかに普通では無いものの、ある種シンプルとも捉えられる折衷的なデザインが、世代やジャンルを超えて多くの人の興味を惹く理由の一つです。

両サイドのポケットもデザインに工夫があり、ジャケット全体の印象付けにうまく作用しています。

開き口に余白を付けてジップを立体的に見せるだけでなく、スライダーをボタンで止められるオプションで独自性を表現。

機能的に超優秀と言える仕掛けではないものの、見る人の注目を集め、興味をもたせる演出は”CCP”のものづくりには欠かせません。

同様のシステムは袖のジップにも採用されています。

こちらは長い袖をカフスボタンのように手首で止める役割も果たします。

後ろ身頃は一枚革で形成され、体の動きや背中の丸みに合わせて遮りの無い自然なフィット感が生まれます。

レザージャケットを体に合わせて変化させていく過程において、こうした幹の部分の革馴染みが着用者にとっては非常に重要です。

肩の部分の切り替えしも特徴的。ショルダーラインが突っ張らずなだらかに流れます。

肘の部分はシームを無くし、動かしやすさにも配慮されています。

このアイデアには動きが大きい部分だけに極端な革馴染みが出ることを防ぐ狙いもありそうです。

内側は両胸にジップポケットが付いており、ライナーはパンチングが施されたコットン素材。

アームにもこの裏地が使われており、袖通しは滑らか且つハリがあって丈夫な印象です。

HIGH NECK LEATHER JACKET

モデル 175cm 60kg

着用サイズ44

ここからは実際の着用画像もご覧いただければと思います。

正面からみると肘のあたりを頂点とした弧を描くスリーブラインがとても綺麗です。

アームの顕著なシワは新品の状態で、すでにブランド側がある程度形成し、納品時にはまるで人間の体のようにしっかり紙が詰められた状態で店頭に到着します。

前に溜まりを作り後ろ側にゆとりを儲けることで、シルエットを崩さずに迫力のあるシワが楽しめるのです。

バックスタイルは、脇下あたりからグッと引き締めたラインが意識されています。

着初めはこの辺りの革の硬さが手強く感じられますが、肩甲骨あたりが馴染み始めると腕、肩、胸から腹部のあたりなど、全体的に余裕が生まれ着心地も格段に良くなります。

そして最後は私が約3年着用したものと、新品を見比べていただければと思います。

どちらも使用しているのは同じホースレザー”CORS”。

左がサイズ46の私物で、右が新品の42サイズです。

腹部に現れているハードなシワは、屈んだり座ったりする際の前傾姿勢で自然と深まったように思います。

自身の体感ではこの部分もかなり柔軟になっている印象です。

そして個人的に一番の変化を感じるのが背面脇下の馴染みです。視覚的に見て分かるものではありませんが、ここの動きがスムーズになると自然とフロントジップも締めやすくなります。

最初はインナーがTシャツでも動きにかなり制限があったものが、今ではニットを挟んでも無理なく着用できるところまで身体に馴染んできました。

写真の手前が新品で奥が3年着用したものになります。

実のところ3年間でクリームなどを添付したのは1.2回のみ。十分にしっとりとした風合いが保たれており、まだまだ安心して長く愛用できそうです。

“CCP”の代表的な馬革”CORS”はずっしりとした迫力がありながらも、着込んでいくと全体にきめ細かな皺が現れ上品にも映ります。

次第と高まってくる光沢。立体感も増し、光の当たり方にも違いが出てくる頃合いの姿はなんとも格別。

新品の状態でも相当パワフルですが、自分の手が加わることでさらに力強さを見せてくれる頼もしさ。それを実感できた時、この1着を選んでよかったと心からお喜びいただけるかと思っております。

私もこのレザーに袖を通すと、やはり気合が入ります。

購入を決める際の一大決心。革が馴染むまでの悪戦苦闘。色々な思い出がこの1着と共にありますが、私としてはこのレザーを着て”CCP”のオフィスを訪れた際に、ブランドメンバーから大歓迎を受けた事が、死んでも忘れられないほど刺激的に心に残っています。

これはあくまで私の経験談に過ぎませんが、、”CCP”の作品が誰かを喜ばせるために作られていることを実感した瞬間。

とても情熱的で愛のあるスペシャリスト達によってこの一着が生み出されている事実に私は本当に感銘を受けました。

“CCP”の製品を最高の状態に仕上げるのは果たして誰なのか。

その答えを誰よりも理解しているからこそ、デザイナー「キャロルクリスチャンポエル」氏は表舞台に姿を現さないのかもしれません。

SHELTERⅡ 山崎

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CAROL CHRISTIAN POELL / GOODYEAR DERBYS “AM/2600L LUC-PTC”

GOODYEAR DERBYS / CAROL CHRISTIAN POELL

10年以上大きなデザインチェンジ無く、C.C.P.が作り続けている定番ダービーシューズ。

現在ブランドが製作しているシューズ類の中で最も古いモデルでありながら、今もなお訴求力の高い不朽の名作です。

形としては典型的な外羽根式の革靴。

外見的にインパクトの強い作品も多い同ブランドのコレクションの中では比較的落ち着きを感じますが、

完成に至るまでの製造工程には常識から大きく外れた独創的なアイデアが存分に盛り込まれています。

やや長めにノーズが設定され、先端をシャープに仕上げた美しいフォルムからはドレッシーな雰囲気すら漂いますが、染色は商品を形にしてから染め上げる「製品染め」によって行われています。

今回ご紹介しているモデルに使用しているレザーは馬の臀部からのみ採取される”コードヴァン”。

この名を聞くと鏡のように磨き上げた高級紳士靴を思い浮かべる方も多いかと思いますが、あえて負荷のかかる染色方法で仕上げることで、そのイメージとは逆を行く独特の躍動感が靴に加わります。

「革に新たな命を吹き込む」そうした思いでキャロル氏は若いころから革と向き合い、数えきれないほどの実験と検証を繰り返してきました。

C.C.P.のレザーアイテムの評価が突出して高い理由には、こうした信念があることに違いありません。

トゥの反り上がりと甲部分のシワは1点ずつ手作業でブランドが理想とする形に仕上げられています。

完璧主義であるがゆえに自らシワ入れを行うという先を見据えたアプローチ。

こうすることで着用者は理想の形を安心して楽しむことができるのです。

ソールはグッドイヤーウェルト製法でタフにお使いいただけます。もちろん裏貼り、ヒール交換も可能です。

ソールの裏を覗くとシャンクの飛び出した斬新なデザインが現れます。金具は製品染めによって錆が付き、非常に物々しい雰囲気ですが、着用時にあまり目に触れる部分では無く、スタイリングには大きな影響は出てきません。

このデザインが最も影響を与えるのは着用者のモチベーションでは無いかと私は思っています。

履く人の気分を高める粋な演出。このブランドの大きな魅力の一つでは無いでしょうか。

履き心地に関してもお問い合わせを頂くことが多いのですが、店頭でご試着を頂くお客様のご感想は「想像していた何倍も歩きやすい」とのお声が多い印象です。

写真などで見るとどうしてもその堅牢な出で立ちが最初は硬さをイメージさせるようですが、ライニングにはソフトなカーフレザーを使用し履き心地にも最大限配慮。

しっかりクッションのあるオリジナルのインソールも付属いたします。

GOODYEAR DERBYS / CAROL CHRISTIAN POELL

C.C.Pがコレクションの発表をストップさせる以前にすでに完成し、今もなお生産を続けているシューズは、このダービーとダイアゴナルジップブーツのみとなります。

多くの製品が廃盤となり、ラインナップが限定的になっている中で、なぜこのシューズは今もなお作り続けられるのか。

はっきりとした理由は我々にも分かりませんが、このシューズがブランド内でも相当の自信作であることは間違いありません。

天才が生み出した渾身の1足。是非皆様のシューズコレクションに迎え入れてみてはいかがでしょうか。

SHELTERⅡ 山崎

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cornelian taurus by daisuke iwanaga 特別企画 “process”

2021年11月に当店ブログページにて連載いたしました”cornelian taurus by daisuke Iwanaga”特別企画“process”。

4回に渡って投稿していたものを一つに改めて集約いたしました。

こちら記事ですべてがご覧いただけますので、ぜひお楽しみくださいませ。

—  目次 —

process vol.1                      -ブランド・扱う革について-

process vol.2  -裁断・クロコダイルレザーについて-

process vol.3                                           -パーツ製作・縫製-

process vol.4                                                                -商品完成-

[process vol.1]

当店と同じ神戸を拠点に活動を行っているバッグブランド”cornelian taurus by daisuke Iwanaga”。

現状のコロナ禍において移動が制限される中、この距離の近さを活かした特別企画を本日よりスタートいたします。

お届けするメインテーマは一つのバッグが出来上がるまでの”プロセス”。革の仕入れ背景から実際の作業の様子まで、複数回のアトリエ訪問にて密着取材をさせていただきました。

この企画で世界初公開となる情報も多く、この場を借りてブランドメンバーの皆様には改めてお礼申し上げます。

具体的にお見せするのは、わたくし山崎がオーダーさせて頂いたバッグの製作風景。

今の仕事に就く前から大ファンだったブランドに全面協力いただき、念願のクロコダイルのカバンが目の前で出来上がります。

公私混同となり大変恐縮ですが、私がこの企画で得た学びと感動、そして何よりもブランドの魅力をこの特集を通じて皆様と共有できますと幸いです。

ブランドがアトリエを構えるのが、神戸の中心地「三宮」から電車で2駅のエリア「王子公園」。

南北にそれぞれ海と山が隣接する爽やかなロケーションで、穏やかな空気が流れています。

もっとも有名なスポットはパンダの居る動物園「王子動物園」。神戸生まれの人間にとっては、とても馴染み深い街と言えるでしょう。

駅からほんの数分歩くと見えてくるブランドの本拠地は、真上を電車が走る高架下。

写真で見て左側がアトリエ。隣にはギャラリーが併設されていて、一般クリエイターへのスペース提供も行っています。

数分おきに電車の走行音があり一見集中しづらい環境にも思えますが、大きな音の出る作業があまり周囲を気にせず行えるというメリットも。

こうした立地を好む職人の方も多いとのことです。

雰囲気のある木のドアを開けるとそこには道具や資材がぎっしり。まさに職人の仕事場といった景色が広がります。

ここがコーネリアンタウラスのアトリエです。

吹き抜けた上階と地下室も存在し、まるで秘密基地のようなレイアウト。ここで日々バッグが作られているかと思うと興奮せずにはいられません。

中央には大きな作業台。そしてそれを取り囲むようにミシンなどの機械類。

このアトリエでは主にクロコダイル・オーストリッチレザーの商品製作に加え、新作の考案やサンプル作りなどが日々行われています。

ブランドの象徴的なバッグのハンドルもすべてここで製作。実はこの部分はデザイナー岩永さんのお父さんが主に担当なさっています。

元々潜水士のお仕事をされていたこともあり、手先の器用さはメンバー内でも随一。この日も非常に丁寧に作業をなさっておられました。

第一回目の取材では実際に作業を見せていただく前に、使用しているレザーについてお話しを伺わせていただきました。

まず見せて頂いたのはブランドの看板素材の一つ、カウミネラルオイル。

油分をたっぷり含んだ上質な牛革は、多くの人気アイテムに使用されている国産品です。

この革の鞣しを担当しているのが、日本トップクラスのタンニン技術を有し海外からの評価も高い「栃木レザー株式会社」。

80年以上の歴史を持つ腕の確かなタンナーが手掛ける、拘りの天然皮革が多くの名作の素となっています。

革のサイズはデシという単位で図られ、[1デシ=〇〇円]といった値付けに基づいて素材の仕入れが行われます。

裁断前に行われるのが、素材一つ一つの個体差に合わせたパターンの割り当て作業。

革は生きた動物から得られる副産物のため、タテヨコの縮尺に自由は利きません。限られた枠の中どのバッグをどのように作るかという計画がとても重要です。

天然皮革は当然のことながら傷やスレも少なからず点在。

1枚の革の中でも箇所によって質感や硬さも異なる中で、極力無駄なく素材を使い切れるよう、悩みながら型紙を置いていきます。

使用している型紙はすべて岩永さんが手書きで仕上げた言わば設計図。ここまで披露いただくのは本当に貴重です。

直線は定規を用いてまっすぐ引かれるそうですが、曲線部は基本フリーハンド。道具を用いず感覚的に引くことで、細かい部分にもオリジナリティーが生まれ、自分なりに納得のいくデザインが起こせるそうです。

写真で岩永さんが手に持っているのは、2021秋冬の新作”tower RUCK PRO”のサンプルモデル。

企画段階で制作したものを実際に使ってみる事で改善点が見つかり、その都度パターンにも修正がかけられます。

コーネリアンの商品を使えば使うほど、シルエットに個性が出るのもこの過程から。

革が馴染んだ後の表情、角の出方やラインのゆがみなども細かく考察し、使い込んだ後の仕上がりも踏まえてデザインしていくというわけです。

商品が完成し展示会で発表した後は、販売店からのオーダーを取りまとめ素材を手配し生産がスタート。エキゾチックレザー以外の製作は、パートナー企業に生産依頼を行います。

コーネリアンの商品はその独自性から、一般的なバッグ作りには用いない特殊技法や細かい工程が必要なため、作業を引き受けてくれる工場の存在は非常に貴重です。この間のコミュニケーションは商品の仕上がりに直結するため、日々丁寧な打ち合わせが行われ、現場で使用される仕様書は岩永さんの手によって綿密に作られています。

長い付き合いとなるこの依頼先はバッグ業界の超ベテラン。実際作業をするのも腕利きの職人の方が多く、岩永さんも絶対的に信頼しているブランドに欠かせない存在です。依頼をする上でのやり取りの中で新しいアイデアが生まれたり、アドバイスを受けてさらに商品が良くなることもあるそうです。

[process vol.2]

Vol.2からはいよいよ実際のバッグの製作風景、作業の手元をご覧いただきます。

前回の記事でもご説明した通り、このブランドのエキゾチックレザーコレクションはすべて神戸のアトリエで生産されています。

裁断、縫製などの主な作業をデザイナーの岩永さんが自ら担当。世界中からのオーダー分をすべて手作業で作り切ります。

コーネリアンが使用しているクロコダイルレザーは世界一の飼育技術を持つファームで育てられたハイクラスの素材です。

ファッション業界のトップメゾンも多く使用しているこの革は、クロコ特有の迫力、力強さがありながらも触ると柔軟性も感じられ滑らか。

ダイナミックさと上品さを掛け合わせたブランドのスタイルと実にマッチしたレザーと言えます。

クロコダイルの最大の特徴は何といってもこの独特の模様、立体感。

綺麗な腑の並びは人が描いたグラフィックではなく、動物そのものの自然美であることに価値があります。

ワニ革の取り扱いは、絶滅危惧種保護を目的とし世界約170カ国の間で結ばれている「ワシントン条約」によって厳しく管理されているため、野生種の商用取引を行うことはできません。

そのためこうした製品に使われる革は主に食肉用としての養殖。国際法で保護されるような希少動物であるが故に、飼育も非常に難しく莫大なコストもかかります。

世界的にも仕入れ先が少ない中で、岩永さんは昔から関わりのあった貿易会社の協力により今の仕入れルートにたどり着き、現在のコレクションが実現。高い品質を保ち続けるのも容易ではありません。

上の写真のものが裁断をしていない届いたままの状態になります。

写真で見て上部がヘッドで下部がテール。中央に縦に走る背筋から左右に腑模様が広がっています。

こちらの個体で幅は約44cm。牛革や馬革などと比べるとかなり小ぶりにはなりますが、仕入れ価格は何倍も高額です。

クロコの場合もまず大変なのが、型紙を当てての裁断準備。

スムースレザーと違い表の腑の並びがそのままデザインとなるため、完成像をイメージしながら革の状態も意識しなければなりません。

おまけにサイズも小さいため、この作業は非常に難解。答えのないパズルのようです。

バッグのメインパーツには腑の大きい背の部分を贅沢に使用します。

カバンの正面中央と背筋の縦のラインを綺麗に合わせた拘りのデザイン。クロコは特に溝の部分に伸縮性があるため、ズレが出ないよう型紙の中央を折って確認しながらポジション決めていきます。

決定した切込み箇所は白のペンで印付け。後から採る細かいパーツの事も計算に入れて準備が進みます。

いよいよ裁断がスタートです。手際良く作業が進んでいきます。

使われている革包丁はこまめに手入れされた切れ味の鋭いもの。

クロコは凹凸が全面にあるため他の革よりも裁断が難しく、切り損じに注意して勢いよく刃を入れていきます。

今回制作いただいているバッグは、最初にお見せした1体分の革の他に、別の個体から取るパーツが組み合わさります。

複雑なデザインのものからシンプルなものまで、商品パーツの形やサイズは多種多様。

出来栄えを最優先しながらも、残り革の多くを処分してしまっては意味がありません。余った部分は他のバッグに使えるようなるべく広く綺麗に取り分けます。

全モデルの作り方が頭に入っているデザイナー本人にしかできないとても重要な作業です。

基本クロコの模様は外に向けて腑が小さくなるため、端の方が柔らかくより慎重に扱わなければなりません。ヘッドの部分から採るパーツは写真のようにギリギリ。注意が必要です。

手際よく作業が進む中、時折手を止めてじっくり考え込まれる場面が私にはとても印象に残りました。

今まで数えきれないほどのバッグを作ってきた岩永さん。言ってしまえばこの作業も日々のルーティーンのようなものですが、流れで作業するような様子は一切ありません。

一点のバッグに真剣に向き合いベストを尽くすその姿。圧倒的な覇気を感じます。

夢中で写真を撮りながら、作業を追いかけているうちに革が次々と捌かれていきます。

残った革は一つにまとめて、別の製作に使えるよう大事に保管されます。

小さな切れ端も細かいパーツや財布の一部などに使用され、処分されるのはほんの一部のみ。

この取り組みを蔑ろにしてしまうと、仕入れコストが高くなり商品価格にも影響が出てしまいます。

革は世界最古のリサイクル産業と言われ、古くから食肉の副産物として人々の生活に多く貢献してきました。

そうした背景からも素材を無駄なく扱うのはとても大切。無くてはならないリスペクトです。

ズレなくまっすぐにカットされ、最初の野性的な姿から少し製品らしさが出てきました。

[process vol.3]

今回のvol.3では裁断後の革が、岩永さんの手によって徐々に姿を変えていきます。

裁断後にまず作っていただいたのがベルト。バッグの持ち手の部分です。

長さが必要になる帯状のパーツは、主にテール部分が使用されます。

今回のバッグのベルトは編み込みなどを行わないシンプルなデザイン。2枚の革が重なって完成形は表裏どちらも表革となります。

表面は1本途切れのない革を使用し、裏面は2本の革を繋ぎ合わせ。最後は表裏を縫い合わせて完成という流れです。

縫い合わせる前に使用するのがこの革漉き機。マシンの間にレザーを通すことで部分的に厚みを薄く削ることができます。

そしていよいよ縫製作業。ミシンが登場です。

色が変わっているベルトの先端が、先ほどの機械で漉いて薄くした部分。

表面を内向きにして重ねた2枚の革を縫い合わせます。

短い部分ですので一瞬でしたが、中央がステッチで縫い合わされました。

ステッチ部分を中心に2枚の革を開き、縫い代を折り返すと1本につながったベルト状のパーツが完成。

合わせる部分の厚みを薄くした事で、革の重なる部分が膨らまず非常に自然に仕上がります。

腑の並びに合わせて繋ぎ目を決めているので、仕上がりも非常に綺麗です。あまりに自然で一見どこを縫い合わせたのか分からない程でした。

次は表裏の革を重ね合わせる作業。レザーと相性の良いゴム糊を使用して2枚を貼り合わせていきます。

2つのパーツは同じ長さで作っているため、ズレないように綺麗に重ねるのが重要。力が入ると微妙に革が伸びてしまうため慎重に扱います。

重ねた革はハンマーで叩いて隙間なく接着。

糊で付け合わせた状態で端を綺麗にカット。形を整えます。

測っても狂いの無い真っ直ぐなベルトパーツが完成。右は同時進行で作られたベルトループのパーツです。

形がしっかり整った後は、周囲をミシンで縫い合わせていきます。

ミシンを扱い始めて既に20年以上になる岩永さん。最初のころは全然上手に縫えなかったと感慨深く仰られていました。

縫い代はほんの数ミリ。際どい部分に淡々と針が降りていきます。

小さなパーツも同様に縫い合わせ。

横で見ている側としては、思わず固唾を呑んでしまう非常に細かい作業です。

縫製作業が終わりベルト作りも大詰め。こちらのマシンを使って切りっぱなしの革端の部分、「コバ」を処理していきます。

高速回転するマシンにコバ部分を当てて、断面が均一化するよう磨きをかけていきます。

処理が荒いと革が劣化しやすく、見栄えも良くないため、革製品においてこの工程は不可欠。

最後は軽く湿らせた布を指に巻き付け、風合いを整えていきます。

特に必要のない作業かもしれないと岩永さんは仰られていましたが、この仕上げも昔から続けているとのこと。

バッグを使うときに必ず手が触れる箇所でもあるため、ご自身の手で丁寧に仕上げていきます。

コーネリアンのバッグを持った時に感じる自然な心地よさ。言葉でもうまく言い表せないあの特別な感覚は、こうした一手間の積み重ねから生まれているのではないでしょうか。

裁断後からおよそ2時間ほどでベルトパーツが完成。

ここまでご覧いただいた裁断からベルトの製作までを約1日かけて進めていただきました。

[process vol.4]

毎日頭を悩ませながら書き進めてきたこの連載も、いよいよゴールが見えて参りました。

このvol.4でいよいよバッグが完成いたします。

前回の取材から日を改めて、この日最初の作業はベルトの穴開け。

まず型紙で穴の位置に印付けを行います。

台の上にベルトを置き、棒型の工具の上からハンマーで強く叩くと綺麗に穴が開きます。

実はこの作業、私も数か所トライさせていただきました。

岩永さんのお手本を見させていただき、しっかり力を入れて叩いたつもりでしたが、最初は綺麗に穴が開けられず革の丈夫さを実感。

手作業の緊張感を肌で感じつつ、なんとかベルトにすべての穴を開けることができました。

バッグのメインの部分は前回の取材からこの日までの間に、少し作業を進めていただいておりました。

バラバラだった4枚のパーツが写真のように綺麗に繋がり1枚に。

そしてこちらは裏側。白の芯地が付き、いかにも製作途中といった状態に見えるかと思います。

この芯地は最終的に別の生地で覆われるため、完成するとすべて見えなくなりますが、革のハリを整えたり、製品強度を高める上で無くてはならない存在。重要な役割を果たしています。

やや白が濃くなっている箇所には、芯地を貼る前に革に直接補強テープが貼られています。

柔らかくなりがちな革端のあたりに僅かな補強を加えることで、全体のハリや厚みを均等にするのがこの処理の狙い。

革の状態やバッグのデザインに応じて岩永さんが貼り具合を調節されているそうで、1点1点テープの幅や貼り方が異なります。

上の写真のものはバッグの裏地。こちらも事前に作っておいていただきました。

ベルトの先を入れ込むホールの部分もすでに備え付けられており、筒状になった状態で革と一緒に縫い合わせていきます。

ここからはいよいよ最後の縫製作業です。

ベルトの連結パーツから順にメインの革と縫い合わせていきます。

先ほど穴を開けた2本のベルトもこの時点で取り付けられます。今回制作いただいているモデルは2つの持ち手が付くトート型。左右均等にボディーと縫い合わせていきます。

パーツの取り付けを終えた後は、革の端と端を縫い合わせいよいよ筒状のバッグの形にしていきます。

コーネリアンのバッグは基本内縫いで制作されているため、完成形は表にステッチが出ることはほとんどありません。

写真のように裏向けの状態で縫製作業が進められ、最後に表に返して完成という流れが主になります。

上の写真は内側に裏地を入れ込み、バッグの開口部で縫い合わせているシーン。

バッグを筒状にしてからの作業は、針を落とすポジションが取りずらく、一筋縄では行かない様子です。

デザインを少し変えて作業工程を見直せば、こうした難しい縫製は避けられるそうですが、このリスクをあえて取ることで、他ブランドのバッグではあまり見られない仕上がり、独自性が生まれます。

難しい箇所が綺麗に縫えた時や、いつも苦戦する作業をスムーズにクリア出来た時は、バッグを作り始めて20年近く経った今でも嬉しいと語る岩永さん。

ここまで拘りを持って活動ができるのも、結局は「ものづくりが好き」であることが最大の原動力なのかもしれません。

縫製作業が完了し形を整えると、見覚えのある内ポケットとレザータグが姿を現しました。そしてこのままバッグを裏返し。

ついに表革が姿を現しました。内に付けた裏地の底を縫い合わせこの段階でバッグとしてはほぼ完成です。

残す最後の仕上げはベルト穴のコバ塗り。専用の塗料で穴の内側を一つ一つ着色していきます。

岩永さんの粋な計らいで、最後の作業は私がすべて行うことに。

まだかまだかと待ち望んでいた自分のバッグですが、この仕上げを終えればこの取材も終了かと思うと少し寂しさすら感じました。

岩永さんを始め、この企画にご協力いただいたブランドメンバーの皆様には本当に感謝しかありません。

ついにバッグが完成いたしました。

今回製作頂いたのは2019年秋冬コレクションで発表された”hand piece flat”というモデル。

どのモデルでオーダーするかは相当悩みましたが、自分らしくクロコダイルを使いこなせればと思い、カジュアルなデザインのこちらを作っていただくことに決めました。

シンプルだからこそ引き立つフロントの1枚使い。ここから使い込んでいく事で、腑模様がさらに立体的になっていくと思うとこの先の変化も楽しみでなりません。

革は自然から頂く大切な天然素材。

私たち人間がレザーを活用し「ファッション」として楽しめることの贅沢さを感じながら、このバッグをできる限り長く愛用していけたらと思っています。

一つ一つのディティールにも本当に思い入れがあります。

私自身このブランドのアイテムをいくつも愛用し、魅力は取材以前より理解していたつもりでしたが、今回製作の舞台裏を見せて頂き、思いもよらない小さな部分に興味深い哲学があることを知りました。

本来一つのバッグを作品として見る場合、作り手の細かな拘りはあまり表に出るべきものではないのかもしれません。

しかしながら、こうした影の努力が間違いなく商品の魅力を強く引き上げており、使う人にも是非知っていただきたい価値のあるストーリーであると、この取材を振り返りながら私は強く思います。

以上を持ちまして、今回の特別企画”process”は完結。

ここまで記事を読み進めていただきました皆様に改めてお礼を申し上げます。

私にとって今回の取り組みは今までの人生で経験した事のない一つのチャレンジでした。正直この素晴らしいブランドの魅力を100%伝えるにはまだまだ力不足だったように感じます。

しかし取材を進めると、仕事に対しての向き合い方や、より高みを目指す岩永さんの姿勢を肌で感じ取り、当初想像していた企画内容を遥かに超える濃い情報をお届けできたようにも思います。

この連載を通じて”cornelian taurus by daisuke iwanaga”の魅力をより深く感じて頂くとともに、皆様のお仕事や今チャレンジしている事、日々の生活のヒントとなる何かを感じ取っていただければ幸いです。

SHELTER2 山崎

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GUIDI / BACK ZIP MID BOOTS “988”

“GUIDI”の象徴と言っても過言ではない傑作。バックジップブーツ”988″。

先日の再入荷で定番のブラックの在庫が整いましたので、今日は改めてこの1足をご紹介させていただければと思います。

BACK ZIP MID BOOTS “988”

グイディが設立当初から長年作り続けているジップ開閉式のレザーブーツ。今回ご紹介するのは最も人気のある定番素材ホースレザーを使用したものになります。

これ以外にシャフトの長さやヒールの種類が異なるバックジップブーツも同ブランドよりリリースされておりますが、このモデルが最もスタンダード。この1足を指すブランドの型番”988″はファンの間では合言葉のようになっています。

アッパーは一枚革で形成され、装飾も一切ないシンプルなデザイン。

一見すると「シンプルで合わせやすい」程度のセールストークに留まってしまいそうです。

しかしこの新品の状態がこのブーツを楽しむうえで非常に重要なスタートライン。

こうした無機質なデザインで世に送りだしたことが、多くの靴好きの注目を集めた一つの理由のように思います。

サイドのシルエットは写真のように斜めに作られており、着用時は足首、脛でシャフト部分を持ち上げる格好に。

足を入れて初めて完成するこのブーツの魅力は、このアイデアが非常に重要な役割を担っています。

ここからは実際スタッフが4年ほど着用したものと比較しながらご覧いただければと思います。

上の写真の左が新品となり、右が着用後の”988″。

素材・カラーはどちらも同じもの。

使用後はダイナミックなシワが入り、同じものとは思えないほど迫力が増しているのを感じていただけるかと思います。

何度もご紹介している内容にはなりますが、GUIDIのシューズは、製品を形にしてから色を染める「製品染め」によって作られており、特にこのブランドが採用している「タンブラーダイ」という技法は革の風合いにも異質さを与えます。

樽型の巨大な装置に形の出来上がった複数のシューズを同時に入れ、液体染料とともに回しながら仕上げるユニークな染色方法。

これによってやや解れたフォルムに仕上がり、履いていくことで革が驚くほど足に馴染むのです。

着用者の歩き方、自重によって形状が変化していくため、足を入れて感じる心地よいフィットは本人以外が生み出せるものではありません。

正面からのフォルムも大きな違いが見て取れます。この足首あたりの立体的なシワはこのブーツ最大の魅せ場です。

素材の光沢や黒の深みも顕著な差が出ておりますが、実際4年着用したスタッフもメンテナンスは1年に1,2回。

グイディのレザーは油分を多く含んでおり、使い続けることで内側のオイルが徐々に表に浮き出します。

それにより革に上品なツヤが生まれ、さらに出立ちがパワフルに。

当店で最もおすすめしているグイディのホースレザーは、ブランドが手掛けている数ある品種の中でも最もバランスが取れたマテリアル。

皺のキメが細かく、扱いやすい柔らかさがありながらも、程よく足をホールドするハリも持ち合わせています。

使用しているジップは日本が世界に誇るファスナーメーカー”YKK”の最高級ライン”EXCELLA”のもの。

スライダーにはブランドロゴが刻印されています。

ソールはグッドイヤーウェルト製法で仕上げられており、貼り替え等は当店でお受けすることも可能です。

リペアは提携いただいております靴修理の名店”UNION WORKS”様が担当。

ジップのトラブルなども対応可能となっておりますので、何かお困りごとがございましたら、なんなりと当店までご相談くださいませ。

いつまでも履き続けたい自分だけの足に馴染んだ特別な1足。ぜひそのシューズとの素敵な歩みをサポートさせていただければと思います。

ブランドの歴史や、製法などについてはもう一つの定番”クラシックダービー”をご紹介したブログにより詳しく掲載しております。

ぜひそちらも下記リンクよりご覧くださいませ。

CLASSIC DERBY “992” / GUIDI

SHELTERⅡ 山崎

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https://shelter2.com/

遠方のお客様にもご安心してシューズのサイズをお選びいただけるよう、配送による試着サービスもスタートいたしました。

サイズ感などでお悩みの方はお気軽にご質問などご連絡をいただくとともに、このサービスもぜひご活用いただけますと幸いです。

シューズ試着サービス開始のご案内