toogood “THE DRAUGHTSMAN SHIRT”

5月はシャツが旬の季節。気温も上がり薄着で気軽に決めたくなるシャツ日和が続きます。

しかしながら例のウィルスのおかげで、去年、今年とせっかくの外出機会が台無しに。

そんな状況からか例年以上に定番ものがよく動いています。

当店ですと常に人気の定番シューズは今季分も数型完売となり、ウエアでいうと”toogood”の代表作”THE DRAUGHTSMAN SHIRT”が最も好評。

今年シェルター2ではこのモデルのみで複数のバリエーションをご用意いたしました。

今日はこの機会にブランドの成り立ちから改めてご紹介させていただければと思います。

当店で3年前より取り扱いをスタートさせたブランド”toogood (トゥーグッド)”は”Faye Toogood”と”Erica Toogood”の女性姉妹を中心としたイギリスを拠点とするユニセックスブランドです。

姉の”Faye”は業界内外から多くの期待と注目を集めるインテリアデザイナーとしても活躍。

アパレル事業を始める前から営んでいる空間デザイン活動”STUDIO TOOGOOD”は、有名ショップのデザインや世界トップブランドのエキシビジョンスペースなどを数多く手掛け、すでにその業界で高い評価を受けています。

妹の”Erica”はファッション一筋。サヴィル・ロウにて服作りのキャリアを積み、そこで得た確かな技術が今のブランドクオリティーの原点と言えるでしょう。

彼女達の作る洋服は主に生活の基盤となるユニフォームがテーマとなっており、芸術家、職人、その他さまざまな職業の伝統的な作業着から着想を得ています。

今回ご紹介する”THE DRAUGHTSMAN SHIRT”は 製図師がモチーフ。ひとつのワークスタイルがシャツに個性を吹き込みます。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / CLAY  73,700円(税込)

ベースのパターンはゆったりとリラックスして着て頂けるビッグシルエット。特に身幅にゆとりを持たせており、脇下あたりに生まれる余裕が全体のムードを高めます。

広い身頃とバランスを取る形で袖丈は短めに設定され、肩肘は動かしやすく、手元はなるべくフリーになるよう配慮。ルーツにある作業着というテーマが着心地にもしっかり効いている印象です。

使用しているシーズン素材”LINEN COTTON DRILL”は麻の涼しげな肌当たりと綿らしいハリを持ち合わせたシャンブレー生地。

ビッグシルエットであるが故に生地量が多く、手で持つとややずっしりくる印象ですが、羽織っていただくと負荷が上手に分散されて重みは一切感じません。

こうした繊細な配慮が出来るのはさすがユニセックスブランドといったところ。小柄な女性の方でもファンになると大きく着るのが気分のようで、当店が主にセレクトしている4・5あたりのサイズをお求めいただく方が多数いらっしゃいます。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / INDIGO 73,700円(税込)

モデル 175cm 60kg  着用サイズ5

カラーは先述の”CLAY(粘土)”と名付けられたオレンジと、これぞシャンブレーといた具合のブルーをご用意しております。

見ていて気持ちの良い青はやはり今の時期の一番人気。こうしたインディゴシャツはすでにお持ちということで最初の反応は薄い方も、着ると印象が全く違うとのことでお買い上げに繋がっています。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / CHARCOAL  73,700円(税込)

モデル 175cm 60kg  着用サイズ4

こちらはブランド内でも人気の高い、洗いをかけて馴染みを持たせたナチュラルな麻素材”LAUNDERED LINEN”。まさにリネンといった通気性と軽さ、自然な畝が特徴です。初夏の羽織としての活躍も期待できます。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / PLOUGH FIELDS  79,200円(税込)

モデル 175cm 60kg  着用サイズ4

毎シーズン楽しませてくれる柄のアイテムもお勧めです。

どこか長閑さ感じる抽象的な田んぼ模様は、イギリスの画家”ポール・ナッシュ”の作品からインスピレーション。

こうしたアイテムは買ったシーズンは1枚でガンガン着て、それ以降はインナーで使うと優秀だったりします。

シルエット的にはブルゾンやカバーオールなど、ざっくりとしたアウターとの組み合わせが好印象。個人的にはロングコートの下に着るのも気に入っていて、元々春夏シーズンに買ったものを秋から冬にかけても頻繁に使っています。

それぞれご用意しているサイズは4 or 5。ここ1か月の当店の動きですと150cm前半の小柄な女性から180cm台のがっちりした男性のお客様までが、それぞれ両サイズを着比べていただき、どちらにするか悩まれておりました。

要は体型に応じてサイズを選ぶイメージではありません。恐らく上記体型例に当てはまる方であればどちらを選んでいただいてもご満足いただけるかと思います。

少し無責任なようですが、この自由度の高さもこのアイテムの魅力。年齢、性別問わず広く人気がある理由と言えるでしょう。

どこで頭に刷り込まれたのか、私は「製図師」と聞き、鉛筆片手に大きな模造紙に向かう職人像が浮かびました。現代ではほぼPCで行う仕事なのかと思いますが、、、

近いイメージを持たれた方が多いとは思いませんが、「製図」というテーマを受けて手元の動かしやすさや肘あたりのゆとりを直感的にご想像いただけた方はそれなりにいらっしゃるかと思います。

人の潜在意識をうまく理解し洋服を親しみ深く見せるのもこのブランドならでは。私自身もこうした”toogood”の表現から得た学びが、生活のアイデアに繋がることが多々あります。

見た目は穏やかですが、非常に感性を揺さぶる刺激的なブランド。皆様にも是非ご体感いただき、何か気づきを得て頂ければ幸いです。

SHELTERⅡ 山崎

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11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON

スニーカーブーム。もはや流行りという言葉では片づけられないレベルで市場は拡大を続けています。

注目モデルは即完売。転売プラットフォームも次々増え、アメリカの投資関連会社によると転売市場だけで数年後には世界60億ドル規模のマーケットに成長するそうです。

どうやらこの勢いは一時的なブーストではなく、今後さらに争奪戦を楽しむコンテンツとなっていく事でしょう。そんな目算を立てながら対岸の大火事を眺めています。

当店そうしたノリとはあまり縁がなく、いわゆる限定ものやコラボを強く煽る機会は少ないのですが、

継続的に展開しているトピックとして”11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON”のダブルネーム商品がございます。

競争率何千倍のレアスニーカーとは言えませんが、製品として価値をしっかり感じられる1足。本日はこのシューズにスポットを当ててみます。少し長くなりそうですが、どうぞお付き合いくださいませ。

まずはそれぞれのブランドをざっとご紹介いたします。

“11 by BORIS BIDJAN SABERI”は当店が取り扱っているボリスビジャンサベリのいわゆるセカンドライン。

このセカンドという解釈も少し前までは、ファーストラインより価格手頃な普及版というのが第一義でしたが、ここ最近ではメインにはないストーリーを展開し、プライスレスな魅力を生み出しているケースも多いように思います。

アイテムはグラフィックやロゴデザイン、スポーツブランドとのコラボなど、デザイナーが若い頃から影響を受けてきたストリートカルチャーを強く表現。

ファーストラインにはないアクティブさと反骨的なメッセージは、ボリス氏の生き様から自然発生したようなムードが漂い、バラエティー豊かに商品が展開されています。

頭の”11″は彼の誕生日。ロゴマークとしても目に付くナンバーです。

そして”11 by BBS”のシューズを一挙に担うパートナーがこちら。

フランス東部、アヌシーに本社を構える”SALOMON”(サロモン)は、ノコギリとスキーエッジの家内工業として1947年に活動をスタートさせました。

アルプス地方での遊びを追求し、スキー製品などを開発。1972年にはビンディング(スキー板と靴を繋ぐ器具)の販売数が100万セットを超え、世界一のビンディングメーカーとなります。

スノーブーツなどフットウエアにおいても数多くのヒット商品を生み出し、1990年代からはサマースポーツの分野に進出。

現在では山の中を長距離走るトレイルランニング用のシューズやウエアの人気が非常に高く、世界中にファンを持つブランドです。

実は私も趣味で月に1、2回は山を走っており、競技を始めてからシューズはずっとサロモンのものを選んでいます。山道は当然のことながらアスファルトも走りやすく、デザインも非常に良いので昨今ファッション層に受けているのも納得。

2015年より始動したこの2ブランドのコラボも主にこのトレランシューズのノウハウを基に展開されています。

左 : BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (DIRTY GREY)

右 : BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (LIGHT GREY)

非常に軽快なフォルムと、スポーツアイテムらしからぬ製品染めのコクが魅力のコラボシューズ”BAMBA”。

スペイン語でスニーカーを指す言葉”BAMBA”(バンバ)をそのままモデル名としており、

同ブランド内のスニーカーにそれぞれ”BAMBA1″、”BAMBA2″と毎シーズン数字が割り当てられています。

BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (LIGHT GREY)

ベースのシューズはサロモン社が担当。製作したシューズにロゴを加えて、ボリス側が染色を行います。

今回ご紹介しているフロントジップデザインの”BAMBA2″は、このコラボの為だけに製作された特注モデル。サロモンが競技用として販売しているラインナップにもこの型は存在していません。

デザインからカラーリング、シューズボックスに至るまで、すべて2ブランドで共作したスペシャルモデルはボリス氏自身もお気に入り。

私が展示会で彼に会った時にも、以前のブログでもご紹介した“P13”にこのシューズを合わせていました。

スニーカーとしては小派といえるフロントジップデザインは、開くとシューレースも備えられ、細かいフィットの調節が可能です。着用時は紐加減をお好きな具合に調節いただき、次にジップを上げていただくと足を包み込む抜群のフィットを感じていただけます。

トレイルランは100kmを超える過酷なレースも多いため、疲労による足のむくみ対策として別サイズの靴に履き替える選手も居るほど。

そうした極限場面も想定し製品開発を行っているだけに、サロモン社が抱えているノウハウやアイデアの引き出しは非常に多く、ファッションに落とし込んだ際もやはり新鮮に映ります。

勿論シューレースのみでフィットはしっかり安定するので、スタイルとしてジップを開けての着用も可能です。

アッパー部分は一部メッシュに切り替え通気性をよくした非防水。

スポーツギアの性能を謳う場面で、防水、非防水どっちが良いかという論争はよく起こります。特にシューズは足が濡れると不快なため、防水が優秀とされがちですが、場面によってはデメリットとなることも。

私はトレラン中の川渡りも、あまり躊躇せず駆け抜けるので川底まで足がよく浸かりますが、サロモンの非防水シューズは水はけが抜群に良く、足が濡れた後も無理なく走り続けることができます。水を吸って靴の重さが極端に増すこともなければ、足蒸れもあまり気になりません。

この点は街履きにおいてもアピールできる重要なポイントです。快適な足元を保証いたします。

ソールもサロモン社の見識が詰まったオリジナル。

前後左右多方向から足に力が加わるよう計算されており、一般的なランニングシューズと比べると材の硬さはややハード。足の沈みは適度に抑え安定性が重視されています。

そしてこのシューズ最大のアピールポイントが製品染めが織りなす物々しい色模様。

染料のプールに未着色のシューズを漬け込んで染色をし、仕上がりはパートごとに色濃度が異なります。

先述のメッシュ部分は色が深く染み、その他の部分と自然な流れでコントラスト。さらにこのモデルは上部は染色していないローパートカラーとなっており、クリアな白との対比も刺激的です。

BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (DIRTY GREY)

スタイルでご覧いただくと、スニーカーのアクティブさと対極にあるクラフト感を同時にを感じていただけるのではないでしょうか。

この調子の良い違和感が、履き続けるといつしか病みつきに。スニーカー好きの方から見てもあまり類を見ない珍しいスタイルと言えるでしょう。

私個人的な意見としては、スニーカーは新品よりやや履き込んだ状態が理想なのですが、このシューズは履き下ろしからすでにウォーミングアップが済んでいて、最初からベストが楽しめます。

スニーカーはどうしても寿命があるため、なるべく良い状態を長期間楽しみたいのが理想。その願いを叶えてくれる非常にプロフェッショナルな1足と言えそうです。

ここ数年で企画数が格段に増えた異色ブランド間のコラボレーション。多様性を重視する現代人を刺激するには非常に有効な営みと言えるでしょう。

ファッションニュースを目にすると時に夫婦格差を感じる共作物も見られます。しかし最終的には2ブランドが名前を並べて世に放たれるのです。もちろんリアルなお金の話もありますが、そこには互いのリスペクトと熱い協議が必要なことは間違いありません。

多くのアスリートのチャレンジをサポートしてきたサロモンのプライド。斬新なアイデアで他にないファッションジャンルを確立しようとするボリスの感性。

お互いの信念から逸れることの無いよう完成させた商品には、それぞれ畑の違うファンを同時に納得させる使命があり、2ブランドの歩み寄りには、両者の信念を共有することが極めて重要。

コラボレーションは芯の無いブランドには難しい試みであると私は考えています。

互いにベストを尽くし妥協なく創り上げた間違いのない1足。ぜひ2ブランドの情熱を感じていただければ幸いです。

最後は少し暑苦しい話となってしまいましたが、この記事が履く方のエナジーに繋がることを心から願っております。

SHELTER2 山崎

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