cornelian taurus by daisuke iwanaga 特別企画 “process”

2021年11月に当店ブログページにて連載いたしました”cornelian taurus by daisuke Iwanaga”特別企画“process”。

4回に渡って投稿していたものを一つに改めて集約いたしました。

こちら記事ですべてがご覧いただけますので、ぜひお楽しみくださいませ。

—  目次 —

process vol.1                      -ブランド・扱う革について-

process vol.2  -裁断・クロコダイルレザーについて-

process vol.3                                           -パーツ製作・縫製-

process vol.4                                                                -商品完成-

[process vol.1]

当店と同じ神戸を拠点に活動を行っているバッグブランド”cornelian taurus by daisuke Iwanaga”。

現状のコロナ禍において移動が制限される中、この距離の近さを活かした特別企画を本日よりスタートいたします。

お届けするメインテーマは一つのバッグが出来上がるまでの”プロセス”。革の仕入れ背景から実際の作業の様子まで、複数回のアトリエ訪問にて密着取材をさせていただきました。

この企画で世界初公開となる情報も多く、この場を借りてブランドメンバーの皆様には改めてお礼申し上げます。

具体的にお見せするのは、わたくし山崎がオーダーさせて頂いたバッグの製作風景。

今の仕事に就く前から大ファンだったブランドに全面協力いただき、念願のクロコダイルのカバンが目の前で出来上がります。

公私混同となり大変恐縮ですが、私がこの企画で得た学びと感動、そして何よりもブランドの魅力をこの特集を通じて皆様と共有できますと幸いです。

ブランドがアトリエを構えるのが、神戸の中心地「三宮」から電車で2駅のエリア「王子公園」。

南北にそれぞれ海と山が隣接する爽やかなロケーションで、穏やかな空気が流れています。

もっとも有名なスポットはパンダの居る動物園「王子動物園」。神戸生まれの人間にとっては、とても馴染み深い街と言えるでしょう。

駅からほんの数分歩くと見えてくるブランドの本拠地は、真上を電車が走る高架下。

写真で見て左側がアトリエ。隣にはギャラリーが併設されていて、一般クリエイターへのスペース提供も行っています。

数分おきに電車の走行音があり一見集中しづらい環境にも思えますが、大きな音の出る作業を騒音迷惑あまり気にせず行えるというメリットも。

こうした立地を好む職人の方も多いとのことです。

雰囲気のある木のドアを開けるとそこには道具や資材がぎっしり。まさに職人の仕事場といった景色が広がります。

ここがコーネリアンタウラスのアトリエです。

吹き抜けた上階と地下室も存在し、まるで秘密基地のようなレイアウト。ここで日々バッグが作られているかと思うと興奮せずにはいられません。

中央には大きな作業台。そしてそれを取り囲むようにミシンなどの機械類。

このアトリエでは主にクロコダイル・オーストリッチレザーの商品製作に加え、新作の考案やサンプル作りなどが日々行われています。

ブランドの象徴的なバッグのハンドルもすべてここで製作。実はこの部分はデザイナー岩永さんのお父さんが主に担当なさっています。

元々潜水士のお仕事をされていたこともあり、手先の器用さはメンバー内でも随一。この日も非常に丁寧に作業をなさっておられました。

第一回目の取材では実際に作業を見せていただく前に、使用しているレザーについてお話しを伺わせていただきました。

まず見せて頂いたのはブランドの看板素材の一つ、カウミネラルオイル。

油分をたっぷり含んだ上質な牛革は、多くの人気アイテムに使用されている国産品です。

この革の鞣しを担当しているのが、日本トップクラスのタンニン技術を有し海外からの評価も高い「栃木レザー株式会社」。

80年以上の歴史を持つ腕の確かなタンナーが手掛ける、拘りの天然皮革が多くの名作の素となっています。

革のサイズはデシという単位で図られ、[1デシ=〇〇円]といった値付けに基づいて素材の仕入れが行われます。

裁断前に行われるのが、素材一つ一つの個体差に合わせたパターンの割り当て作業。

革は生きた動物から得られる副産物のため、タテヨコの縮尺に自由は利きません。限られた枠の中どのバッグをどのように作るかという計画がとても重要です。

天然皮革は当然のことながら傷やスレも少なからず点在。

1枚の革の中でも箇所によって質感や硬さも異なる中で、極力無駄なく素材を使い切れるよう、悩みながら型紙を置いていきます。

使用している型紙はすべて岩永さんが手書きで仕上げた言わば設計図。ここまで披露いただくのは本当に貴重です。

直線は定規を用いてまっすぐ引かれるそうですが、曲線部は基本フリーハンド。道具を用いず感覚的に引くことで、細かい部分にもオリジナリティーが生まれ、自分なりに納得のいくデザインが起こせるそうです。

写真で岩永さんが手に持っているのは、2021秋冬の新作”tower RUCK PRO”のサンプルモデル。

企画段階で制作したものを実際に使ってみる事で改善点が見つかり、その都度パターンにも修正がかけられます。

コーネリアンの商品を使えば使うほど、シルエットに個性が出るのもこの過程から。

革が馴染んだ後の表情、角の出方やラインのゆがみなども細かく考察し、使い込んだ後の仕上がりも踏まえてデザインしていくというわけです。

商品が完成し展示会で発表した後は、販売店からのオーダーを取りまとめ素材を手配し生産がスタート。エキゾチックレザー以外の製作は、パートナー企業に生産依頼を行います。

コーネリアンの商品はその独自性から、一般的なバッグ作りには用いない特殊技法や細かい工程が必要なため、作業を引き受けてくれる工場の存在は非常に貴重です。この間のコミュニケーションは商品の仕上がりに直結するため、日々丁寧な打ち合わせが行われ、現場で使用される仕様書は岩永さんの手によって綿密に作られています。

長い付き合いとなるこの依頼先はバッグ業界の超ベテラン。実際作業をするのも腕利きの職人の方が多く、岩永さんも絶対的に信頼しているブランドに欠かせない存在です。依頼をする上でのやり取りの中で新しいアイデアが生まれたり、アドバイスを受けてさらに商品が良くなることもあるそうです。

[process vol.2]

Vol.2からはいよいよ実際のバッグの製作風景、作業の手元をご覧いただきます。

前回の記事でもご説明した通り、このブランドのエキゾチックレザーコレクションはすべて神戸のアトリエで生産されています。

裁断、縫製などの主な作業をデザイナーの岩永さんが自ら担当。世界中からのオーダー分をすべて手作業で作り切ります。

コーネリアンが使用しているクロコダイルレザーは世界一の飼育技術を持つファームで育てられたハイクラスの素材です。

ファッション業界のトップメゾンも多く使用しているこの革は、クロコ特有の迫力、力強さがありながらも触ると柔軟性も感じられ滑らか。

ダイナミックさと上品さを掛け合わせたブランドのスタイルと実にマッチしたレザーと言えます。

クロコダイルの最大の特徴は何といってもこの独特の模様、立体感。

綺麗な腑の並びは人が描いたグラフィックではなく、動物そのものの自然美であることに価値があります。

ワニ革の取り扱いは、絶滅危惧種保護を目的とし世界約170カ国の間で結ばれている「ワシントン条約」によって厳しく管理されているため、野生種の商用取引を行うことはできません。

そのためこうした製品に使われる革は主に食肉用としての養殖。国際法で保護されるような希少動物であるが故に、飼育も非常に難しく莫大なコストもかかります。

世界的にも仕入れ先が少ない中で、岩永さんは昔から関わりのあった貿易会社の協力により今の仕入れルートにたどり着き、現在のコレクションが実現。高い品質を保ち続けるのも容易ではありません。

上の写真のものが裁断をしていない届いたままの状態になります。

写真で見て上部がヘッドで下部がテール。中央に縦に走る背筋から左右に腑模様が広がっています。

こちらの個体で幅は約44cm。牛革や馬革などと比べるとかなり小ぶりにはなりますが、仕入れ価格は何倍も高額です。

クロコの場合もまず大変なのが、型紙を当てての裁断準備。

スムースレザーと違い表の腑の並びがそのままデザインとなるため、完成像をイメージしながら革の状態も意識しなければなりません。

おまけにサイズも小さいため、この作業は非常に難解。答えのないパズルのようです。

バッグのメインパーツには腑の大きい背の部分を贅沢に使用します。

カバンの正面中央と背筋の縦のラインを綺麗に合わせた拘りのデザイン。クロコは特に溝の部分に伸縮性があるため、ズレが出ないよう型紙の中央を折って確認しながらポジション決めていきます。

決定した切込み箇所は白のペンで印付け。後から採る細かいパーツの事も計算に入れて準備が進みます。

いよいよ裁断がスタートです。手際良く作業が進んでいきます。

使われている革包丁はこまめに手入れされた切れ味の鋭いもの。

クロコは凹凸が全面にあるため他の革よりも裁断が難しく、切り損じに注意して勢いよく刃を入れていきます。

今回制作いただいているバッグは、最初にお見せした1体分の革の他に、別の個体から取るパーツが組み合わさります。

複雑なデザインのものからシンプルなものまで、商品パーツの形やサイズは多種多様。

出来栄えを最優先しながらも、残り革の多くを処分してしまっては意味がありません。余った部分は他のバッグに使えるようなるべく広く綺麗に取り分けます。

全モデルの作り方が頭に入っているデザイナー本人にしかできないとても重要な作業です。

基本クロコの模様は外に向けて腑が小さくなるため、端の方が柔らかくより慎重に扱わなければなりません。ヘッドの部分から採るパーツは写真のようにギリギリ。注意が必要です。

手際よく作業が進む中、時折手を止めてじっくり考え込まれる場面が私にはとても印象に残りました。

今まで数えきれないほどのバッグを作ってきた岩永さん。言ってしまえばこの作業も日々のルーティーンのようなものですが、流れで作業するような様子は一切ありません。

一点のバッグに真剣に向き合いベストを尽くすその姿。圧倒的な覇気を感じます。

夢中で写真を撮りながら、作業を追いかけているうちに革が次々と捌かれていきます。

残った革は一つにまとめて、別の製作に使えるよう大事に保管されます。

小さな切れ端も細かいパーツや財布の一部などに使用され、処分されるのはほんの一部のみ。

この取り組みを蔑ろにしてしまうと、仕入れコストが高くなり商品価格にも影響が出てしまいます。

革は世界最古のリサイクル産業と言われ、古くから食肉の副産物として人々の生活に多く貢献してきました。

そうした背景からも素材を無駄なく扱うのはとても大切。無くてはならないリスペクトです。

ズレなくまっすぐにカットされ、最初の野性的な姿から少し製品らしさが出てきました。

[process vol.3]

今回のvol.3では裁断後の革が、岩永さんの手によって徐々に姿を変えていきます。

裁断後にまず作っていただいたのがベルト。バッグの持ち手の部分です。

長さが必要になる帯状のパーツは、主にテール部分が使用されます。

今回のバッグのベルトは編み込みなどを行わないシンプルなデザイン。2枚の革が重なって完成形は表裏どちらも表革となります。

表面は1本途切れのない革を使用し、裏面は2本の革を繋ぎ合わせ。最後は表裏を縫い合わせて完成という流れです。

縫い合わせる前に使用するのがこの革漉き機。マシンの間にレザーを通すことで部分的に厚みを薄く削ることができます。

そしていよいよ縫製作業。ミシンが登場です。

色が変わっているベルトの先端が、先ほどの機械で漉いて薄くした部分。

表面を内向きにして重ねた2枚の革を縫い合わせます。

短い部分ですので一瞬でしたが、中央がステッチで縫い合わされました。

ステッチ部分を中心に2枚の革を開き、縫い代を折り返すと1本につながったベルト状のパーツが完成。

合わせる部分の厚みを薄くした事で、革の重なる部分が膨らまず非常に自然に仕上がります。

腑の並びに合わせて繋ぎ目を決めているので、仕上がりも非常に綺麗です。あまりに自然で一見どこを縫い合わせたのか分からない程でした。

次は表裏の革を重ね合わせる作業。レザーと相性の良いゴム糊を使用して2枚を貼り合わせていきます。

2つのパーツは同じ長さで作っているため、ズレないように綺麗に重ねるのが重要。力が入ると微妙に革が伸びてしまうため慎重に扱います。

重ねた革はハンマーで叩いて隙間なく接着。

糊で付け合わせた状態で端を綺麗にカット。形を整えます。

測っても狂いの無い真っ直ぐなベルトパーツが完成。右は同時進行で作られたベルトループのパーツです。

形がしっかり整った後は、周囲をミシンで縫い合わせていきます。

ミシンを扱い始めて既に20年以上になる岩永さん。最初のころは全然上手に縫えなかったと感慨深く仰られていました。

縫い代はほんの数ミリ。際どい部分に淡々と針が降りていきます。

小さなパーツも同様に縫い合わせ。

横で見ている側としては、思わず固唾を呑んでしまう非常に細かい作業です。

縫製作業が終わりベルト作りも大詰め。こちらのマシンを使って切りっぱなしの革端の部分、「コバ」を処理していきます。

高速回転するマシンにコバ部分を当てて、断面が均一化するよう磨きをかけていきます。

処理が荒いと革が劣化しやすく、見栄えも良くないため、革製品においてこの工程は不可欠。

最後は軽く湿らせた布を指に巻き付け、風合いを整えていきます。

特に必要のない作業かもしれないと岩永さんは仰られていましたが、この仕上げも昔から続けているとのこと。

バッグを使うときに必ず手が触れる箇所でもあるため、ご自身の手で丁寧に仕上げていきます。

コーネリアンのバッグを持った時に感じる自然な心地よさ。言葉でもうまく言い表せないあの特別な感覚は、こうした一手間の積み重ねから生まれているのではないでしょうか。

裁断後からおよそ2時間ほどでベルトパーツが完成。

ここまでご覧いただいた裁断からベルトの製作までを約1日かけて進めていただきました。

[process vol.4]

毎日頭を悩ませながら書き進めてきたこの連載も、いよいよゴールが見えて参りました。

このvol.4でいよいよバッグが完成いたします。

前回の取材から日を改めて、この日最初の作業はベルトの穴開け。

まず型紙で穴の位置に印付けを行います。

台の上にベルトを置き、棒型の工具の上からハンマーで強く叩くと綺麗に穴が開きます。

実はこの作業、私も数か所トライさせていただきました。

岩永さんのお手本を見させていただき、しっかり力を入れて叩いたつもりでしたが、最初は綺麗に穴が開けられず革の丈夫さを実感。

手作業の緊張感を肌で感じつつ、なんとかベルトにすべての穴を開けることができました。

バッグのメインの部分は前回の取材からこの日までの間に、少し作業を進めていただいておりました。

バラバラだった4枚のパーツが写真のように綺麗に繋がり1枚に。

そしてこちらは裏側。白の芯地が付き、いかにも製作途中といった状態に見えるかと思います。

この芯地は最終的に別の生地で覆われるため、完成するとすべて見えなくなりますが、革のハリを整えたり、製品強度を高める上で無くてはならない存在。重要な役割を果たしています。

やや白が濃くなっている箇所には、芯地を貼る前に革に直接補強テープが貼られています。

柔らかくなりがちな革端のあたりに僅かな補強を加えることで、全体のハリや厚みを均等にするのがこの処理の狙い。

革の状態やバッグのデザインに応じて岩永さんが貼り具合を調節されているそうで、1点1点テープの幅や貼り方が異なります。

上の写真のものはバッグの裏地。こちらも事前に作っておいていただきました。

ベルトの先を入れ込むホールの部分もすでに備え付けられており、筒状になった状態で革と一緒に縫い合わせていきます。

ここからはいよいよ最後の縫製作業です。

ベルトの連結パーツから順にメインの革と縫い合わせていきます。

先ほど穴を開けた2本のベルトもこの時点で取り付けられます。今回制作いただいているモデルは2つの持ち手が付くトート型。左右均等にボディーと縫い合わせていきます。

パーツの取り付けを終えた後は、革の端と端を縫い合わせいよいよ筒状のバッグの形にしていきます。

コーネリアンのバッグは基本内縫いで制作されているため、完成形は表にステッチが出ることはほとんどありません。

写真のように裏向けの状態で縫製作業が進められ、最後に表に返して完成という流れが主になります。

上の写真は内側に裏地を入れ込み、バッグの開口部で縫い合わせているシーン。

バッグを筒状にしてからの作業は、針を落とすポジションが取りずらく、一筋縄では行かない様子です。

デザインを少し変えて作業工程を見直せば、こうした難しい縫製は避けられるそうですが、このリスクをあえて取ることで、他ブランドのバッグではあまり見られない仕上がり、独自性が生まれます。

難しい箇所が綺麗に縫えた時や、いつも苦戦する作業をスムーズにクリア出来た時は、バッグを作り始めて20年近く経った今でも嬉しいと語る岩永さん。

ここまで拘りを持って活動ができるのも、結局は「ものづくりが好き」であることが最大の原動力なのかもしれません。

縫製作業が完了し形を整えると、見覚えのある内ポケットとレザータグが姿を現しました。そしてこのままバッグを裏返し。

ついに表革が姿を現しました。内に付けた裏地の底を縫い合わせこの段階でバッグとしてはほぼ完成です。

残す最後の仕上げはベルト穴のコバ塗り。専用の塗料で穴の内側を一つ一つ着色していきます。

岩永さんの粋な計らいで、最後の作業は私がすべて行うことに。

まだかまだかと待ち望んでいた自分のバッグですが、この仕上げを終えればこの取材も終了かと思うと少し寂しさすら感じました。

岩永さんを始め、この企画にご協力いただいたブランドメンバーの皆様には本当に感謝しかありません。

ついにバッグが完成いたしました。

今回製作頂いたのは2019年秋冬コレクションで発表された”hand piece flat”というモデル。

どのモデルでオーダーするかは相当悩みましたが、自分らしくクロコダイルを使いこなせればと思い、カジュアルなデザインのこちらを作っていただくことに決めました。

シンプルだからこそ引き立つフロントの1枚使い。ここから使い込んでいく事で、腑模様がさらに立体的になっていくと思うとこの先の変化も楽しみでなりません。

革は自然から頂く大切な天然素材。

私たち人間がレザーを活用し「ファッション」として楽しめることの贅沢さを感じながら、このバッグをできる限り長く愛用していけたらと思っています。

一つ一つのディティールにも本当に思い入れがあります。

私自身このブランドのアイテムをいくつも愛用し、魅力は取材以前より理解していたつもりでしたが、今回製作の舞台裏を見せて頂き、思いもよらない小さな部分に興味深い哲学があることを知りました。

本来一つのバッグを作品として見る場合、作り手の細かな拘りはあまり表に出るべきものではないのかもしれません。

しかしながら、こうした影の努力が間違いなく商品の魅力を強く引き上げており、使う人にも是非知っていただきたい価値のあるストーリーであると、この取材を振り返りながら私は強く思います。

以上を持ちまして、今回の特別企画”process”は完結。

ここまで記事を読み進めていただきました皆様に改めてお礼を申し上げます。

私にとって今回の取り組みは今までの人生で経験した事のない一つのチャレンジでした。正直この素晴らしいブランドの魅力を100%伝えるにはまだまだ力不足だったように感じます。

しかし取材を進めると、仕事に対しての向き合い方や、より高みを目指す岩永さんの姿勢を肌で感じ取り、当初想像していた企画内容を遥かに超える濃い情報をお届けできたようにも思います。

この連載を通じて”cornelian taurus by daisuke iwanaga”の魅力をより深く感じて頂くとともに、皆様のお仕事や今チャレンジしている事、日々の生活のヒントとなる何かを感じ取っていただければ幸いです。

SHELTER2 山崎

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GUIDI / BACK ZIP MID BOOTS “988”

“GUIDI”の象徴と言っても過言ではない傑作。バックジップブーツ”988″。

先日の再入荷で定番のブラックの在庫が整いましたので、今日は改めてこの1足をご紹介させていただければと思います。

BACK ZIP MID BOOTS “988”

グイディが設立当初から長年作り続けているジップ開閉式のレザーブーツ。今回ご紹介するのは最も人気のある定番素材ホースレザーを使用したものになります。

これ以外にシャフトの長さやヒールの種類が異なるバックジップブーツも同ブランドよりリリースされておりますが、このモデルが最もスタンダード。この1足を指すブランドの型番”988″はファンの間では合言葉のようになっています。

アッパーは一枚革で形成され、装飾も一切ないシンプルなデザイン。

一見すると「シンプルで合わせやすい」程度のセールストークに留まってしまいそうです。

しかしこの新品の状態がこのブーツを楽しむうえで非常に重要なスタートライン。

こうした無機質なデザインで世に送りだしたことが、多くの靴好きの注目を集めた一つの理由のように思います。

サイドのシルエットは写真のように斜めに作られており、着用時は足首、脛でシャフト部分を持ち上げる格好に。

足を入れて初めて完成するこのブーツの魅力は、このアイデアが非常に重要な役割を担っています。

ここからは実際スタッフが4年ほど着用したものと比較しながらご覧いただければと思います。

上の写真の左が新品となり、右が着用後の”988″。

素材・カラーはどちらも同じもの。

使用後はダイナミックなシワが入り、同じものとは思えないほど迫力が増しているのを感じていただけるかと思います。

何度もご紹介している内容にはなりますが、GUIDIのシューズは、製品を形にしてから色を染める「製品染め」によって作られており、特にこのブランドが採用している「タンブラーダイ」という技法は革の風合いにも異質さを与えます。

樽型の巨大な装置に形の出来上がった複数のシューズを同時に入れ、液体染料とともに回しながら仕上げるユニークな染色方法。

これによってやや解れたフォルムに仕上がり、履いていくことで革が驚くほど足に馴染むのです。

着用者の歩き方、自重によって形状が変化していくため、足を入れて感じる心地よいフィットは本人以外が生み出せるものではありません。

正面からのフォルムも大きな違いが見て取れます。この足首あたりの立体的なシワはこのブーツ最大の魅せ場です。

素材の光沢や黒の深みも顕著な差が出ておりますが、実際4年着用したスタッフもメンテナンスは1年に1,2回。

グイディのレザーは油分を多く含んでおり、使い続けることで内側のオイルが徐々に表に浮き出します。

それにより革に上品なツヤが生まれ、さらに出立ちがパワフルに。

当店で最もおすすめしているグイディのホースレザーは、ブランドが手掛けている数ある品種の中でも最もバランスが取れたマテリアル。

皺のキメが細かく、扱いやすい柔らかさがありながらも、程よく足をホールドするハリも持ち合わせています。

使用しているジップは日本が世界に誇るファスナーメーカー”YKK”の最高級ライン”EXCELLA”のもの。

スライダーにはブランドロゴが刻印されています。

ソールはグッドイヤーウェルト製法で仕上げられており、貼り替え等は当店でお受けすることも可能です。

リペアは提携いただいております靴修理の名店”UNION WORKS”様が担当。

ジップのトラブルなども対応可能となっておりますので、何かお困りごとがございましたら、なんなりと当店までご相談くださいませ。

いつまでも履き続けたい自分だけの足に馴染んだ特別な1足。ぜひそのシューズとの素敵な歩みをサポートさせていただければと思います。

ブランドの歴史や、製法などについてはもう一つの定番”クラシックダービー”をご紹介したブログにより詳しく掲載しております。

ぜひそちらも下記リンクよりご覧くださいませ。

CLASSIC DERBY “992” / GUIDI

SHELTERⅡ 山崎

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遠方のお客様にもご安心してシューズのサイズをお選びいただけるよう、配送による試着サービスもスタートいたしました。

サイズ感などでお悩みの方はお気軽にご質問などご連絡をいただくとともに、このサービスもぜひご活用いただけますと幸いです。

シューズ試着サービス開始のご案内

taichimurakami 21A/W “displacement seam jeans”

taichimurakami  21A/W  “displacement seam jeans”

綿 – cotton –   83%   印刷紙 – printed paper –  17%

入荷前からかなりの反響があった2021秋冬タイチムラカミの新作デニムジーンズ。今回はこのデニムにフォーカスを当てて使用されている素材・製法やテクニックを解説致します。

前回同様、”紙の糸”が使用された今回の2021秋冬コレクションはこの”紙の糸”を”DNA GENOME PAPER”と称した。

この”DNA GENOME PAPER”プロジェクトでは文字を印刷し記録を残すという紙本来の性質に加え、この衣料用に作られた特殊な紙に文字をプリント、スリット、撚りをかけ糸を製作。

さらにその紙糸をベースに様々な糸と合わせ、生地を製作。

紙糸に於いて、ランダムに黒く見える箇所は無数の文字(DNA)である。

”PAPER TREAD”

この「紙の糸」には日本が誇るいくつもの最先端製紙技術で生成されている。「紙の糸」とは、「抄繊糸(しょうせんし)」と呼ばれ、日本では既に奈良時代に存在し、麻や綿よりも古い歴史を持つといわれる。また糸を焼却しても有害物質が発生せずに分解される。紙は通気性が良く、比重が軽く、張りと強度をもつ。

”DNA PAPER DENIM”

【シャトル織機で作るセルヴィッチデニム】

縦糸に天然藍をかける事が可能なシャトル織機(旧式力織機)でなければ織ることができず、日本でも限られた地域(岡山)と職人だけの技術である。今回は本来は経糸が綿であるデニムにDNA GENOME PAPERを打ち込む事で、DNA PAPER DENIMを開発。経糸が朽ち果てた時に残る経糸からはDNAが垣間見れる。

【藍染めの技術】

限られた職人が作る藍染めデニムの特徴は、天然藍ならではの青。そして時を重ねるごとに醸し出される味わいである。また、糸を染める際、わざと中側を染めずに白く残す「芯白」と呼ばれる染色技術は、海外でも高く評価されている。

“DISPLACED SEAM”

元来は直線だったものが、破損され歪み「ズレ」た姿こそ完成であるとされ開発されたディテール。一本の直線のシームが、地震でずれた断層のように、ひびの入った壁のように、互いにずれながら構成される。

”DNA”

アイデンティティ。それはすなわちDNAである。DNAがあるかぎり自分を自分だと証明する。工業化された量産社会の世の中では、簡素化したプロセスの下で大量に同じモノが作られている。

そんな中、既製品を全て排除し、糸、生地、釦に至るまで独自に開発・製造し、仕上げることで、同じものは存在しなくなる。創り出すモノにDNAを遺す。それにより、モノ自体の存在価値を証明する。

”BLIND STITCH”

特殊なミシンにより施されるステッチ。本来は表に出ない様に使用されるが、特殊改造されたミシンにより強制的に可視化されている。

“STERLING SILVER  .925”

釦や付属には銀925が使用され、その全てがゼロから製作されている。銀925は空気に触れること硫化が進行するが、これは銀特有の特徴である。抗菌、消臭効果を有する。

“(UN)INTERCEPTION”

この製品には洋服を構成する際に必ず考慮するアームホールという概念がなく、縫製線のぶつかりを極力排除した、特殊なパターンで製作されている。上下左右に捻れる動きに対し、交点を取り除く事により、アームホールからにストレスを軽減させ、より動きにコミットすることを可能とさせる。

上記のように様々なテクニックやタイチ氏拘りの素材を詰め込んだ新作デニム。下記写真ではサイズごとのシルエットを紹介します。2モデルのスタイルをご覧下さいませ。

Model 175cm 60㎏ size 5    (通常44-46サイズを着用)

Model 176cm 71㎏ size 6    (通常46-48サイズを着用)

男性のファッションで普遍的なジーンズ。この永遠の定番とも呼べるカテゴリーをベーシックかつこれだけのオリジナリティを詰め込んだアイテムは他に類を見ないのではないでしょうか。

さらに履き込めば旧式力織機で織ったデニムは所謂ヴィンテージデニムの色落ちが楽しめます。これは所有者の特権になりますが、、、。

今季一押しのデニムを是非一度ご覧下さいませ。

ご質問などございましたらお気軽にお申し付けくださいませ。

皆様のご来店心よりお待ちしております。

SHELTER2 斉藤

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ONE PIECE SHORT SLEEVE T-SHIRT “T211C” / m.a+

夏本番。日差し照り付ける夏らしいお天気が続いております。

最近の日本の夏は本当に暑い。この酷暑にTシャツの上に何か羽織ろうというお洒落心を削がれてしまいがちですが、

その分Tシャツ1枚にかける皆様の熱量と言いますか、拘りが強くなってきているように感じております。

“エムエークロス”が長年作り続けているワンピースTシャツ”T211C”。

“One piece”の名の通り1枚生地で形成された定番アイテムです。

Tシャツはアパレル業界以外からの参入も多く、何かのグッズやお土産など、メインの役目がオシャレではないこともしばしば。

無限の選択肢がある中でファッションブランドとして独自性を貫くには、芯のある拘りと強い説得力が必要です。

数多くのプロダクトを常識知らずの手法で作り上げてきた”m.a+”。

その中でも「一枚作り」は最も代表的なスタイルと言えるでしょう。

フロントを十字に縫い合わせるオリジナルパターン自体をアイコン化し、ロゴマークのように縫製を応用。

中央の”+”が交わる部分にさらっとステッチを付け加えてこのTシャツの完成です。

ONE PIECE SHORT SLEEVE T-SHIRT / ORANGE

袖や肩、背面にも一切シームが無いため、不自然なラインの崩れなどは一切出ず、体に沿ったなだらかなシルエットが生まれます。

この流れを表すには細かなパターン調整と丁寧な縫製が不可欠。

作りは実にシンプルですが、繊細なもの作りがカギを握ります。

全ての裾はカットオフで仕上げられ、身頃の下端は軽く巻き上がります。

無理に手を加えるのではなく、あくまで生地の性質・自然現象を生かしたさりげないアクセント。

多少わざとらしさもありますが、この愛嬌も”m.a+”の醍醐味と言えるでしょう。

ジャケットやシャツのインナーにしていただいてもほとんど干渉はございません。不自然なシワや歪みを出さずに、さらっとスタイリングいただけます。

アイコン的なデザインながらも、プリントなどが入っているわけではないため、無地のTシャツと同じ感覚でお使いいただけるオールラウンダー。ネックレスなどが合わせやすいのもポイントです。

そして豊富な色のバリエーションもこのTシャツの楽しいところ。ブラック、ホワイトなどは毎シーズン製作されておりますが、色物はそのシーズンのみとなることがほとんどです。

原色から少しトーンを外したユニークな発色のものが多く、毎シーズン買い足していただくファンの方も複数いらっしゃいます。

例えば現在当店にある3種類の「青」。どれも一言に「青」とは言い切れない絶妙な色相です。

左:FOREVER BLUE

右:SODALITE BLUE

上の2色はブルーの前にイメージとなる一言が添えられており、微妙なニュアンスが色名に宿ります。

MIDNIGHT

そしてもう一色は”MIDNIGHT”(真夜中)と名付けられた陰りのある青。

このネームセンスにピンと来て購入をご決断いただくケースも少なくありません。

他にも動物や植物、時には食べ物などから名付けたカラーネームもあり、いつも我々を楽しませてくれます。

定番アイテムではございますが、サイズ感に関してはシーズンごとに着丈や身幅のチューニングが異なります。

これも常にブランドが停滞せずに、新しいものを生み出そうとしている姿勢から。しかし特にこう着るべきという像も設けておりませんので、お気に入りのスタイルで自由にサイズをお選びいただければと思います。

各商品ページにはそれぞれ実寸を掲載しておりますが、サイズ選びでお悩みの際はどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

徐々に秋物も入荷しておりますが、まだまだ夏は長いです。

是非お気に入りの1枚を見つけていただければと思います。

ONEPIECE SHORT SLEEVE T-SHIRT “T211C” (こちらから現在の全在庫がご覧いただけます。)

皆様のご来店、ご利用を心よりお待ちしております。

SHELTERⅡ 山崎

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PORTER CLASSIC “SUPER NYLON”

2021春夏より当店で取り扱いをスタートさせたブランド”PORTER CLASSIC”。

商品ラインナップはウエアが大半を占めるブランドですが、”SUPER NYLON”というオリジナル素材を用いたバッグコレクションも絶大な支持を得ています。

”PC”が生み出したのは世界でも類を見ない、色落ちするナイロンバッグ。名作と呼ぶにふさわしい商品の誕生には、ドキュメンタリー映画が1本撮れそうな深いストーリーがございます。

デザイナーの吉田克幸氏は日本が世界に誇るカバンメーカー”吉田カバン”の創業者、吉田吉蔵氏の三男。

ブランドのルーツはバッグにありということで、本日は”SUPER NYLON”シリーズのアイテムをご覧くださいませ。

“SUPER NYLON”はナイロンからデニムのような色落ちを味わいたいという挑戦的な発想から生まれた、ブランドを代表するファブリックです。

20代の頃、ドイツ・パリ・ロンドン・ニューヨークと留学をし、多くのカルチャーに影響を受けたデザイナーの克幸氏。

特に海外古着の自然な色落ちや経年変化、リメイクのテクニックなどに感銘を受けたことが、彼の物作りのルーツとなっています。

そうした感性と、他にないものを作りたいというプライドから”SUPER NYLON”の研究がスタート。

アイデアまではよかったものの、完成までには非常に長い年月と苦労があったと語られています。

そもそも世界的にもほぼ前例の無いナイロン素材の染色は、最初から苦難の連続でした。

既に着色されたナイロンには色がうまく入らず、何度実験を繰り返してもデニムのような綺麗な色落ちが現れてくれません。

考え抜いた末に生地をホワイトで製作し、そこから染色するというアイデアで研究は進行。

商品を形にしてから染め上げる製品染めという方法にたどり着きます。

染色によるの生地の縮みや、パーツ位置のズレなどを計算したパターニングや縫製も困難を極めます。

使用によって生地に馴染みが表れる革製品であれば、多少の誤差も魅力と出来たかもしれません。しかし選んだ相手はナイロン。使用後に形状が変化するものではないため、染色前の緻密な計算と職人さんの高度な技術が不可欠でした。

このように職人さんとデザイナーが二人三脚で商品を作り上げるスタイルは、父から受け継いだ吉田家こだわりの流儀。

依頼先の職人さんの知恵を借り、助言も頂きながら制作を進めることで、当初の理想を超えた完成品を目指します。

日本が世界に誇る吉田カバンの血が流れる商品に、一切の妥協が許されないのです。

ブランド側の理想と実際に作業をする熟練職人さんの根気が実を結び、2012年ついに”SUPER NYLON”の商品が完成となりました。

求めていたのは一般的なナイロンでは現れない、この不均一な色のムラ。ここから使い込むことでデニムのように色が落ち、さらに個性的でオンリーワンな姿を見せてくれます。

言うまでもなく製品は軽く、持ちやすくて便利。摩擦にも強いナイロンを使用し、耐久性にも自信ありです。

ここからは当店にございます実際の商品をご覧くださいませ。

SUPER NYLON HELMET CASE L  46,750円(税込) color:BLACK

1950年代、朝鮮戦争時に誕生したヘルメットバッグは元々、米兵がヘルメットを持ち歩くために作られたミリタリーアイテム。

吉田カバン(PORTER)からは1983年よりスタートしたシリーズ”タンカー”よりヘルメットバッグが発売されました。

当時は軍物の機能性や雰囲気を日常品に応用するという発想も新鮮で、感度の高いファッション層から徐々にその人気は浸透。

今ではビジネスバッグとしてのポジションも獲得し、[ヘルメットバッグ=PORTER]という公式が日本では成り立っているように思います。

そうした本家の代表的なアイテムを”PC”からは”SUPER NYLON”でリリース。

どうしてもスポーティーに偏ってしまうナイロンバッグの印象を、染色によって覆した大人で奥深い雰囲気が魅力です。

こちらは商品を裏返した内側の写真になります。前後両面に収納いがついており、細かいものをそれぞれ小分けいただけます。

入れる荷物の形や重さによって形状が変化する、ラウンド型の底面も非常に合理的。

デイリーに使うバッグは、こうした機能の充実が欠かせません。

A3サイズの書類やノートPCなども入れて頂けるグッドサイズ。(W47cm × H46cm)

マチ幅が定まっていないため、例えば一眼レフのカメラなど嵩張りやすい荷物を入れるのにも適しています。

SUPER NYLON HELMET CASE S  36,300円(税込) color:BLACK

こちらは一回り小さいサイズのヘルメットケース。

近年で大衆バッグの小型化がどんどん進み、ミニバッグより一回り大きいこちらのようなサイズのカバンが見つかりにくいとよく聞きます。

A4サイズの書類も入れられるサイズ感。タブレットなども収納可能です。(W33cm × H32cm)

先述の大型のものと同様に内側の収納も両面完備。

スマートフォンやお財布など、出し入れの多いものはこの内ポケットにいれていただくのもお勧めです。

HELMET CASE XS  35,750円(税込) color:OLIVE

こちらはさらに小型のXSサイズ。オリーブも“SUPER NYLON”シリーズの人気カラーです。

より現代的なコンパクトサイズのこちらは、長財布を入れても少し余裕が残る収納力。単行本や500mlのペットボトルも入れていただけます。(27cm × 27cm)

こちらのバッグにも先述の2型同様の内収納がございます。

さらにこのモデルのみ背面にもボタン付きポケットを配置。ハンカチなどサッと出したいものを入れるのにお勧めです。

SUPER NYLON TOTE BAG  49,500円(税込) color:BLACK

こちらもお勧めのトートバッグタイプ。大容量かつ超軽量で幅広くご活用いただけます。

製品染の色むらと、タテ横に走るベルトがなんともマッチしていて好印象。渋さ感じる大人のトートバッグとでも言いましょうか。合わせて革靴を履きたくなります。

もちろん内側にもしっかりと両面収納。

サイドには上部マチ幅を調節できるベルトも配置。細部まで気の利いた作り込みは感動的です。

SUPER NYLON WALLET POUCH  24,200円(税込) color:BLACK

SUPER NYLON WALLET POUCH  24,200円(税込)  color:OLIVE

最後はアクセサリーとしても楽しいウォレットポーチ。

カテゴリーとしては財布になりますが、その枠をはみ出た収納力を誇ります。

内側にはカードケースやジップポケットも用意され、まさに財布としてお使いいただけます。中央のスペースにはスマホなどを入れていただくことも可能なサイズです。(W20cm H10.5cm D2cm)

外側のポケットも広く、写真のようにスマホを入れられます。(写真はiphone XS)

ベルトも取り外しが可能ですので、インバッグとしての活用もおすすめです。

以上現在当店でご用意している商品をご紹介させていただきました。

“SUPER NYLON”シリーズのバッグは発売以降いまも作業の簡略化はせず、1点1点職人さんの手によって丁寧に仕上げられています。

ブランドの合言葉は「一針入魂」。

これも父の吉蔵氏が残したもの作りに対する言葉で、生産数がいくつであろうと目の前の1点を全力で仕上げなさいという教訓です。

大量生産こそ出来ませんが、人情味があっていつまでも使っていたい”SUPER NYLON”のバッグ。ご興味お持ちいただけると幸いです。

SHELTER2 山崎

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GUIDI / CLASSIC DERBY 992

グイディの代表作の一つ、クラシックダービー”992″。

定番であるがゆえに当店でも定期的にご紹介してる商品になりますが、最近ブランドを知られてのご来店やお問い合わせのお客様も増えてきておりますので、改めてご紹介させていただければと思います。

すでにご愛用中の方にもその魅力を再認識いただければ幸いです。

CLASSIC DERBY “992” / GUIDI

100年以上の歴史を持つ世界屈指のレザータンナー”CONCERIA GUIDIE ROSELLINI”社が、2005年よりスタートさせたオリジナルブランド”GUIDI”。

世界トップブランドや著名デザイナーからも絶大な支持を得ている革鞣しの老舗が、シューズ、バッグ、一部ウエアも展開しイタリアから世界へその魅力を発信し続けています。

レザーの楽しみ方を深く理解したプロフェッショナル達が手掛ける商品は、他を探しても味わえない唯一無二のエイジングが体験できるこから、本物志向のファッション層やセレブ達から熱烈な評価を獲得。

非常に満足度の高いブランドです。

”GUIDI”の製品は主にシンプルなデザインのものが多く、スタイルを選ばずに合わせられて非常に優秀。

飽きがこない故にいつまでも愛用でき、使った分だけ自身の身体に馴染みます。

今回ご紹介する外羽根式の短靴も、非常にシンプルでトラディショナル。革靴の基本的な形と言えるでしょう。

王道デザインだからこそ拘りたい。そんな気持ちを納得させるストーリーが、このシューズには込められています。

こちらのシューズに使用しているのはホースレザー(馬革)。

ブランドが手掛けている数ある品種の中でも最もバランスが取れていて非常に人気の素材です。

正確には”HORSE FULL GRAIN”という名がつけられており、FULL GRAIN (フルグレイン)とは銀面 (革の表面の部分) をあまり手を加えずそのまま使用していることを表します。

動物が持ち合わせていた自然な皮膚の美しさと、ナチュラルな経年変化が得られるこの部位はとても希少。1頭あたりから取れる量も僅かだそうです。

採取された素材は草や木などの天然植物から抽出したタンニン (渋) を使って丁寧に鞣され、製品に使える生地が完成。

この鞣しの技法は革の聖地として知られるイタリア・トスカーナ地方の伝統的な技法ベジタブルタンニング。その歴史は800年以上と言われています。

手間や工程が増えてしまい作業には時間を有しますが、革本来の強度や自然な表情を最大限に引き出せるのがベジタブルタンニングの魅力。化学薬品を使用しないことから、近年では環境保全の観点からも注目を集めています。

非常に質の良い革を用いて作られたシューズは”タンブラーダイ”と言われる特殊な方法によって染色されます。

樽型の巨大な装置に形の出来上がった複数のシューズを同時に入れ、液体染料とともに回しながら仕上げるユニークな染色方法。特大のドラム型洗濯機に靴を何十足と入れて回す感じでイメージ頂ければと思います。

製品の内側まで色が染まり、形は角が取れてやや緩やかなフォルムに変化。

グイディ製品の醍醐味といえる、革の馴染みやシワ入れには絶対に欠かせない工程です。

タンブラーダイは樽内の製品同士がぶつかり合う染色方法のため、ヒールなどの硬い部分には小キズやスレが生まれ、金具には錆も生じます。

そうした非常に激しい工程となるため、強度の高い良質なレザーでなければ取り入れることができません。これは裏を返せば自社製品への自信の表れと受け取ることもできるでしょう。

当店には実際の染色風景を収めた希少な映像データもございます。ウェブへの掲載や転送等はNGとなっておりますので、ご興味ございましたら、店頭でぜひご覧くださいませ。

さてここからは最も注目すべき、着用による革の変化をご覧いただきます。

こちらは当店マネージャーの斉藤が8年履き込んだ同モデル。

店頭ではこの仕上がりを見てご購入を決心されるお客様も少なくありません。

深い履き皺に加え、サイドのあたりは着用者の足型に沿う広がりが見られます。

この革馴染みこそ”GUIDI”のシューズが広く愛される理由。

グイディレザーの馴染みは、足幅、甲の厚み、指の長さなど人それぞれ異なる足型の特徴にも及び、履き心地が日に日に良くなっていきます。

当店でも10年以上同じシューズをご愛用中のお客様が多数いらっしゃいますが、皆様口を揃えて語られるのがこの履きやすさ。

よく歩き、長く使い続けることで肌感覚の満足が得られ、貴方にとって無くてはならない大切な1足に仕上がります。

細かいシボもしっかり入り、新品のツルッとした表情から大きく印象が異なりますが、依然として艷やかさはしっかりキープ。

“GUIDI”の製品に使用されている革は非常に油分を多く含み、メンテナンスにも手間があまり掛かりません。

実際こちらのシューズも、数ヶ月に1回のクリームケアのみでここまでの風合いが保たれていてまだまだ現役。

より使い込んだ雰囲気を楽しみため、あえてメンテナンスをしないファンの方も多くいらっしゃいます。

新品と並べるとその違いは一目瞭然。

ここまで仕上げるにはそれなりの時間が必要にはなりますが、まずは躊躇なく履き込んでいただくことが重要です。

たまには革靴を履いて、少し長めに歩いてみてはいかがでしょうか。

ソールに関しては2回のラバー交換を経ており、現在はビブラム社のタンクソールを装着。

長く履き続けるにあたって、タイミングでこうした遊びを加えていただくのもおすすめです。

当店からのリペアは提携いただいております靴修理の名店”UNION WORKS”様が担当。

職人の皆様のシューズ愛が凄まじく、1足ずつ丁寧に向き合っていただいております。

ソール交換などをはじめ、修理のご相談等もございましたら、ぜひ当店へご相談くださいませ。

CLASSIC DERBY “992” / GUIDI

サイズ選びのご相談などもご納得いただけるよう出来る限りアドバイスさせていただきます。

ご質問などもございましたら、メールお電話でお気軽にご連絡くださいませ。

SHELTERⅡ 山崎

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toogood “THE DRAUGHTSMAN SHIRT”

5月はシャツが旬の季節。気温も上がり薄着で気軽に決めたくなるシャツ日和が続きます。

しかしながら例のウィルスのおかげで、去年、今年とせっかくの外出機会が台無しに。

そんな状況からか例年以上に定番ものがよく動いています。

当店ですと常に人気の定番シューズは今季分も数型完売となり、ウエアでいうと”toogood”の代表作”THE DRAUGHTSMAN SHIRT”が最も好評。

今年シェルター2ではこのモデルのみで複数のバリエーションをご用意いたしました。

今日はこの機会にブランドの成り立ちから改めてご紹介させていただければと思います。

当店で3年前より取り扱いをスタートさせたブランド”toogood (トゥーグッド)”は”Faye Toogood”と”Erica Toogood”の女性姉妹を中心としたイギリスを拠点とするユニセックスブランドです。

姉の”Faye”は業界内外から多くの期待と注目を集めるインテリアデザイナーとしても活躍。

アパレル事業を始める前から営んでいる空間デザイン活動”STUDIO TOOGOOD”は、有名ショップのデザインや世界トップブランドのエキシビジョンスペースなどを数多く手掛け、すでにその業界で高い評価を受けています。

妹の”Erica”はファッション一筋。サヴィル・ロウにて服作りのキャリアを積み、そこで得た確かな技術が今のブランドクオリティーの原点と言えるでしょう。

彼女達の作る洋服は主に生活の基盤となるユニフォームがテーマとなっており、芸術家、職人、その他さまざまな職業の伝統的な作業着から着想を得ています。

今回ご紹介する”THE DRAUGHTSMAN SHIRT”は 製図師がモチーフ。ひとつのワークスタイルがシャツに個性を吹き込みます。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / CLAY  73,700円(税込)

ベースのパターンはゆったりとリラックスして着て頂けるビッグシルエット。特に身幅にゆとりを持たせており、脇下あたりに生まれる余裕が全体のムードを高めます。

広い身頃とバランスを取る形で袖丈は短めに設定され、肩肘は動かしやすく、手元はなるべくフリーになるよう配慮。ルーツにある作業着というテーマが着心地にもしっかり効いている印象です。

使用しているシーズン素材”LINEN COTTON DRILL”は麻の涼しげな肌当たりと綿らしいハリを持ち合わせたシャンブレー生地。

ビッグシルエットであるが故に生地量が多く、手で持つとややずっしりくる印象ですが、羽織っていただくと負荷が上手に分散されて重みは一切感じません。

こうした繊細な配慮が出来るのはさすがユニセックスブランドといったところ。小柄な女性の方でもファンになると大きく着るのが気分のようで、当店が主にセレクトしている4・5あたりのサイズをお求めいただく方が多数いらっしゃいます。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / INDIGO 73,700円(税込)

モデル 175cm 60kg  着用サイズ5

カラーは先述の”CLAY(粘土)”と名付けられたオレンジと、これぞシャンブレーといた具合のブルーをご用意しております。

見ていて気持ちの良い青はやはり今の時期の一番人気。こうしたインディゴシャツはすでにお持ちということで最初の反応は薄い方も、着ると印象が全く違うとのことでお買い上げに繋がっています。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / CHARCOAL  73,700円(税込)

モデル 175cm 60kg  着用サイズ4

こちらはブランド内でも人気の高い、洗いをかけて馴染みを持たせたナチュラルな麻素材”LAUNDERED LINEN”。まさにリネンといった通気性と軽さ、自然な畝が特徴です。初夏の羽織としての活躍も期待できます。

THE DRAUGHTSMAN SHIRT / PLOUGH FIELDS  79,200円(税込)

モデル 175cm 60kg  着用サイズ4

毎シーズン楽しませてくれる柄のアイテムもお勧めです。

どこか長閑さ感じる抽象的な田んぼ模様は、イギリスの画家”ポール・ナッシュ”の作品からインスピレーション。

こうしたアイテムは買ったシーズンは1枚でガンガン着て、それ以降はインナーで使うと優秀だったりします。

シルエット的にはブルゾンやカバーオールなど、ざっくりとしたアウターとの組み合わせが好印象。個人的にはロングコートの下に着るのも気に入っていて、元々春夏シーズンに買ったものを秋から冬にかけても頻繁に使っています。

それぞれご用意しているサイズは4 or 5。ここ1か月の当店の動きですと150cm前半の小柄な女性から180cm台のがっちりした男性のお客様までが、それぞれ両サイズを着比べていただき、どちらにするか悩まれておりました。

要は体型に応じてサイズを選ぶイメージではありません。恐らく上記体型例に当てはまる方であればどちらを選んでいただいてもご満足いただけるかと思います。

少し無責任なようですが、この自由度の高さもこのアイテムの魅力。年齢、性別問わず広く人気がある理由と言えるでしょう。

どこで頭に刷り込まれたのか、私は「製図師」と聞き、鉛筆片手に大きな模造紙に向かう職人像が浮かびました。現代ではほぼPCで行う仕事なのかと思いますが、、、

近いイメージを持たれた方が多いとは思いませんが、「製図」というテーマを受けて手元の動かしやすさや肘あたりのゆとりを直感的にご想像いただけた方はそれなりにいらっしゃるかと思います。

人の潜在意識をうまく理解し洋服を親しみ深く見せるのもこのブランドならでは。私自身もこうした”toogood”の表現から得た学びが、生活のアイデアに繋がることが多々あります。

見た目は穏やかですが、非常に感性を揺さぶる刺激的なブランド。皆様にも是非ご体感いただき、何か気づきを得て頂ければ幸いです。

SHELTERⅡ 山崎

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11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON

スニーカーブーム。もはや流行りという言葉では片づけられないレベルで市場は拡大を続けています。

注目モデルは即完売。転売プラットフォームも次々増え、アメリカの投資関連会社によると転売市場だけで数年後には世界60億ドル規模のマーケットに成長するそうです。

どうやらこの勢いは一時的なブーストではなく、今後さらに争奪戦を楽しむコンテンツとなっていく事でしょう。そんな目算を立てながら対岸の大火事を眺めています。

当店そうしたノリとはあまり縁がなく、いわゆる限定ものやコラボを強く煽る機会は少ないのですが、

継続的に展開しているトピックとして”11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON”のダブルネーム商品がございます。

競争率何千倍のレアスニーカーとは言えませんが、製品として価値をしっかり感じられる1足。本日はこのシューズにスポットを当ててみます。少し長くなりそうですが、どうぞお付き合いくださいませ。

まずはそれぞれのブランドをざっとご紹介いたします。

“11 by BORIS BIDJAN SABERI”は当店が取り扱っているボリスビジャンサベリのいわゆるセカンドライン。

このセカンドという解釈も少し前までは、ファーストラインより価格手頃な普及版というのが第一義でしたが、ここ最近ではメインにはないストーリーを展開し、プライスレスな魅力を生み出しているケースも多いように思います。

アイテムはグラフィックやロゴデザイン、スポーツブランドとのコラボなど、デザイナーが若い頃から影響を受けてきたストリートカルチャーを強く表現。

ファーストラインにはないアクティブさと反骨的なメッセージは、ボリス氏の生き様から自然発生したようなムードが漂い、バラエティー豊かに商品が展開されています。

頭の”11″は彼の誕生日。ロゴマークとしても目に付くナンバーです。

そして”11 by BBS”のシューズを一挙に担うパートナーがこちら。

フランス東部、アヌシーに本社を構える”SALOMON”(サロモン)は、ノコギリとスキーエッジの家内工業として1947年に活動をスタートさせました。

アルプス地方での遊びを追求し、スキー製品などを開発。1972年にはビンディング(スキー板と靴を繋ぐ器具)の販売数が100万セットを超え、世界一のビンディングメーカーとなります。

スノーブーツなどフットウエアにおいても数多くのヒット商品を生み出し、1990年代からはサマースポーツの分野に進出。

現在では山の中を長距離走るトレイルランニング用のシューズやウエアの人気が非常に高く、世界中にファンを持つブランドです。

実は私も趣味で月に1、2回は山を走っており、競技を始めてからシューズはずっとサロモンのものを選んでいます。山道は当然のことながらアスファルトも走りやすく、デザインも非常に良いので昨今ファッション層に受けているのも納得。

2015年より始動したこの2ブランドのコラボも主にこのトレランシューズのノウハウを基に展開されています。

左 : BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (DIRTY GREY)

右 : BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (LIGHT GREY)

非常に軽快なフォルムと、スポーツアイテムらしからぬ製品染めのコクが魅力のコラボシューズ”BAMBA”。

スペイン語でスニーカーを指す言葉”BAMBA”(バンバ)をそのままモデル名としており、

同ブランド内のスニーカーにそれぞれ”BAMBA1″、”BAMBA2″と毎シーズン数字が割り当てられています。

BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (LIGHT GREY)

ベースのシューズはサロモン社が担当。製作したシューズにロゴを加えて、ボリス側が染色を行います。

今回ご紹介しているフロントジップデザインの”BAMBA2″は、このコラボの為だけに製作された特注モデル。サロモンが競技用として販売しているラインナップにもこの型は存在していません。

デザインからカラーリング、シューズボックスに至るまで、すべて2ブランドで共作したスペシャルモデルはボリス氏自身もお気に入り。

私が展示会で彼に会った時にも、以前のブログでもご紹介した“P13”にこのシューズを合わせていました。

スニーカーとしては小派といえるフロントジップデザインは、開くとシューレースも備えられ、細かいフィットの調節が可能です。着用時は紐加減をお好きな具合に調節いただき、次にジップを上げていただくと足を包み込む抜群のフィットを感じていただけます。

トレイルランは100kmを超える過酷なレースも多いため、疲労による足のむくみ対策として別サイズの靴に履き替える選手も居るほど。

そうした極限場面も想定し製品開発を行っているだけに、サロモン社が抱えているノウハウやアイデアの引き出しは非常に多く、ファッションに落とし込んだ際もやはり新鮮に映ります。

勿論シューレースのみでフィットはしっかり安定するので、スタイルとしてジップを開けての着用も可能です。

アッパー部分は一部メッシュに切り替え通気性をよくした非防水。

スポーツギアの性能を謳う場面で、防水、非防水どっちが良いかという論争はよく起こります。特にシューズは足が濡れると不快なため、防水が優秀とされがちですが、場面によってはデメリットとなることも。

私はトレラン中の川渡りも、あまり躊躇せず駆け抜けるので川底まで足がよく浸かりますが、サロモンの非防水シューズは水はけが抜群に良く、足が濡れた後も無理なく走り続けることができます。水を吸って靴の重さが極端に増すこともなければ、足蒸れもあまり気になりません。

この点は街履きにおいてもアピールできる重要なポイントです。快適な足元を保証いたします。

ソールもサロモン社の見識が詰まったオリジナル。

前後左右多方向から足に力が加わるよう計算されており、一般的なランニングシューズと比べると材の硬さはややハード。足の沈みは適度に抑え安定性が重視されています。

そしてこのシューズ最大のアピールポイントが製品染めが織りなす物々しい色模様。

染料のプールに未着色のシューズを漬け込んで染色をし、仕上がりはパートごとに色濃度が異なります。

先述のメッシュ部分は色が深く染み、その他の部分と自然な流れでコントラスト。さらにこのモデルは上部は染色していないローパートカラーとなっており、クリアな白との対比も刺激的です。

BAMBA2 LOW 11 by BORIS BIDJAN SABERI × SALOMON (DIRTY GREY)

スタイルでご覧いただくと、スニーカーのアクティブさと対極にあるクラフト感を同時にを感じていただけるのではないでしょうか。

この調子の良い違和感が、履き続けるといつしか病みつきに。スニーカー好きの方から見てもあまり類を見ない珍しいスタイルと言えるでしょう。

私個人的な意見としては、スニーカーは新品よりやや履き込んだ状態が理想なのですが、このシューズは履き下ろしからすでにウォーミングアップが済んでいて、最初からベストが楽しめます。

スニーカーはどうしても寿命があるため、なるべく良い状態を長期間楽しみたいのが理想。その願いを叶えてくれる非常にプロフェッショナルな1足と言えそうです。

ここ数年で企画数が格段に増えた異色ブランド間のコラボレーション。多様性を重視する現代人を刺激するには非常に有効な営みと言えるでしょう。

ファッションニュースを目にすると時に夫婦格差を感じる共作物も見られます。しかし最終的には2ブランドが名前を並べて世に放たれるのです。もちろんリアルなお金の話もありますが、そこには互いのリスペクトと熱い協議が必要なことは間違いありません。

多くのアスリートのチャレンジをサポートしてきたサロモンのプライド。斬新なアイデアで他にないファッションジャンルを確立しようとするボリスの感性。

お互いの信念から逸れることの無いよう完成させた商品には、それぞれ畑の違うファンを同時に納得させる使命があり、2ブランドの歩み寄りには、両者の信念を共有することが極めて重要。

コラボレーションは芯の無いブランドには難しい試みであると私は考えています。

互いにベストを尽くし妥協なく創り上げた間違いのない1足。ぜひ2ブランドの情熱を感じていただければ幸いです。

最後は少し暑苦しい話となってしまいましたが、この記事が履く方のエナジーに繋がることを心から願っております。

SHELTER2 山崎

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BORIS BIDJAN SABERI “P13”

”ボリスビジャンサベリ”の最高傑作”P13″。

デザイナー本人も自身の矜持を込めたと語るこのパンツには、彼が服作りを始めた頃の初心、そしてさらにはそれ以前の生活環境や、慣れ親しんだカルチャーが強く紐づいています。

同ブランドを語る上では絶対に欠かせない1本。とはいえボリスの商品を初めて買っていただく方にとっては少々高く付く入門アイテムになってしまうかもしれません。

しかしながら「ここまで高いパンツを買うのは初めて。」と仰るお客様ほどその後同型で2本目、3本目とお求めいただくケースが多く、”P13″との出会いをきっかけにボトムス狂となってしまいます。

いったいなぜこのパンツが人をそこまで引き付けるのか。改めて大解剖いたします。どうぞお付き合いくださいませ。

P13TF PANTS / BORIS BIDJAN SABERI

力強いオーラと美しいシルエットを同時に得ることのできるこちらは”P13″のタイトフィットモデル。

過去には”RF”(レギュラーフィット)、TF(タイトフィット)、XTF(エクストラタイトフィット)の3種類のバリエーションの”P13″が製作されていましたが、ここ数シーズンは”TF”のみのリリースに。

今後の展開は今のところ分かりませんが、現状このモデルがボリス氏が考える”P13″の理想の形と言えそうです。

素材に関してはシーズンによって異なりますが、基本ストレッチ素材が使用されています。

最も印象的なのが、独特のバックデザイン。

彼が愛するストリートカルチャーの一つ”sagging”(腰履き)風のデザインは、このブランドを象徴する一つのスタイルとなっています。

囚人服の風采を真似たラッパーやギャング系のファッションが起源とされているようですが、現在30代前後の方には「腰パン」と呼ぶのがしっくりくるかもしれません。学生服のズボンを下げて履いた記憶がある方もいらっしゃるかと思います。

私もまさしくその世代。そのせいか”P13″に足を通すと、心なしか気が少し大きくなります。

実際の形状は単に股上を長く設けているというよりも、腰の部分にややスペースを継ぎ足したイメージ。

実際着用する際のウエスト位置でヒップの落ち感の調節ができ、腰の位置を高く保っていただくと、すっきりと履いていただけます。

ヒップが下にダボっと落ちるサルエルの形状とは少し違うため、トップスが長くなくてもバランスよくスタイリングが可能。コーディネートをトータルで良く見せながら、デザインポケットの主張も際立つ秀逸なパターンです。

次に注目するのが太腿部分のカッティング。ここから漂うリメイク感にボリス氏の若いころの経験が重なります。

彼が服作りにのめり込むきっかけとなったのが古着のリメイク。すでに完成された洋服を自身の理想に変形すべく試行錯誤を繰り返し、彼は多くの技術やアイデアを手に入れました。

古着のデニムのポケット口からハサミを入れ、悪戦苦闘の末に誕生したオリジナルパターン。その名残がデザインとして”P13″には刻まれているのです。

ウエストのデザインも前述のリメイクから得たアイデアが活きています。

“P13″に限らずボリスの作るボトムスの多くはウエストボタンが2つついており、備え付けのコードも含め、フィット調節が可能。

スケートボードの愛好家である彼にとって、ボトムスに動きやすさ、調節機能を求めるのは必然であり、リメイクを学ぶ段階ですでに心得ていた重要なテーマと言えるでしょう。

スタイリングの最後の仕上げの微調整にも役立つこのディティールは、ユーザーの体型に対してジャストサイズを決めつけません。

少しゆとりをもたせたり、なるべくタイトに履いたりと、その方の理想に合わせたサイズ選びで楽しんでいただけるのもこのパンツの人気の理由。当店でお買い上げいただいたお客様のスタイリングも非常にジャンルレスです。

こちらも興味をそそるのが、ボタンフライ部の内部構造。

裏から見ると分かりやすいのですが、すべてのボタンが1本の紐でつながっており、最終的にはその紐がウエストの調節役も担います。

デザイン的なユニークさはもちろんのこと、ボタンをそれぞれパンツに縫い合わせないため、生地への負担を軽減。ボタンも外れにくくなるというメリットが出てきます。

裏側の縫い合わせはすべてパイピングによって仕上げられ、耐久性の高さを目で感じ取ることができます。

この安心感は長くものをご愛用頂くためには本当に重要。作り手のひと手間が着用者の愛着につながり、長期的に履いて頂くことで、経年による味が手に入ります。

一見悪そうに見えて、作りは非常に丁寧で真面目。このギャップにもグッと心が掴まれます。

内側裾付近に付けられたゴムループは足を通していただくと、写真のように裾をたくし上げての着用をお楽しみいただけます。

シューズを主張したい時や、履きシワを誇張したい際に大変有効です。

前回ショールームでボリス氏と会った際も、この写真のようなバランスで”P13″を履きこなしていました。

色々とディティールについてお伝えしてまいりましたが、その多くがデザイナー自身のライフスタイルに沿って作られているため、当然彼は自身の服がよく似合います。ボリスの服が世界一似合う人間は彼かもしれません。

ですがあくまでブランドとして、彼等が一番大切にしているのはユーザーが満足する商品を作ること。

一人でも多くのファンがより良い素敵な姿になるように、彼等が培ってきた経験を集約させ完成したものが、”BORIS BIDJAN SABERI”の製品として世に送りだされています。

そんなコレクションの中でも1番とブランドが豪語する”P13″。

履くと不思議と力が湧いて、少し強気になれる最高の1本です。

P13TF PANTS / BORIS BIDJAN SABERI

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“m.a+” UTILITY JACKET -J253-

UTILITY JACKET / m.a+

以前よりブログでもご紹介したいと思っていた”エムエークロス”の新定番”ユーティリティージャケット”。

実はこの商品、2020春夏の商品で当店に到着したのが昨年の3月末。

店舗の臨時休業を余儀なくされる直前での入荷となってしまい、スポットが当てられずのままでした。

春物の入荷も少しずつ店頭に並び始めたこのタイミング。満を持してご紹介させていただければと思います。

ユーティリティーの名の通り、実用的なポケット使いが特徴のカジュアルジャケット。

“m.a+”が提案するワークジャケットというところで”utility”と名付けられていますが、着回しの良さといった意味でもこの言葉は当てはまってくるかと思います。

ご覧の通りスタイルを気にせず、お楽しみいただけるアイテムです。

早速ディティールを見ていくと、左胸のポケットは2層構造。

外に形が出ないため一見分かりませんが、どちらもしっかり深さがとられており、手前のポケットには眼鏡、奥のポケットにはペンがすっぽり収まりました。

基本的に独自性が強く、元ネタのあるデザインを頻用するブランドではありませんが、マウリツィオ氏自身、服の背景や歴史などのストーリーにも非常に深い関心を持っています。

このアイテムのソースも作業着という観点から見ると、左の胸ポケットはペン差しにあたる部分。そうした形式的な伝統にも配慮したのかなと個人的には解釈しています。

両腰部分のポケットは裾と底が一体化した無駄のないデザインとなっております。

こちらのポケットも非常に大きく、同ブランドの長財布“W10”がすっぽり収まる大容量。

シルエットや縫い合わせに沿ってポケットを配置するデザインは”m.a+”の多くの作品にみられるお家芸的な手法の一つで、

ここに体の動き、生地の馴染みも加わると、直線状のデザインバランスがやや崩れ、独特のシルエットに洋服全体が変化します。

そして特筆すべきはやはり独特の生地使いで表現したオリジナルパターン。

背面はごらんの通り1枚生地。実は両サイドの部分も概ね同生地でつながっており、前後ほぼ一枚生地で仕立てられています。

もちろん大きな生地を一枚切って繋ぐだけではこのような形状にはなりません。

そこでパターン引きから縫い合わせる過程の中で微調整を行うわけですが、この部分で先ほど注目した各ポケットが大きな意味を成してきます。

実際着用画像をご覧いただくと箱型ではありながらも、身体に沿う流れを感じていただけるかと思います。

特に脇下の部分のゆとりを抑え、胸ポケットのデザインがあることでその引き締めを誤魔化すかのように自然に表現。

腰のサイドポケットに関してはシルエットの横への広がりをやや誇張し、胸回りとのギャップを生み出します。

このメリハリをほぼ1枚の生地とポケットの配置で簡潔に表現するのは、基本的な服作りのテクニックを集結させるだけでは絶対にできません。

今まで一貫して独自性を追求してきたブランドだからこそ、このプロセスで当然のように良い服を仕立ててしまうのです。

なるべく生地をカットしない。身体の動きを考えて服を作る。

テーマは非常にシンプルですが、そこから感じる着心地であったり、生まれるラインだったりの芸術性は間違いなく”m.a+”の本質的な魅力。ファンの方々が求める旨味の部分と言ってほぼ間違いありません。

店頭では多くのお客様がご試着前に商品を平置きにして隅々までじっくりとご覧になられます。

そのあと実際に試着し鏡の前でにっこり。あの瞬間が私はたまらなく大好きです。

UTILITY UNLINED JACKET

先日入荷した2021春夏コレクションからは数あるアーカイブ生地の中から、リネンベースの薄いストライプ生地をチョイスして同モデルをオーダーいたしました。

縦縞が入ることでよりパターンの構造を目で追っていただくことが可能です。

4 POCKET WIDE PANTS

そしてこちらのジャケット、同素材のセットアップスタイルでお選びいただくことが現時点では可能です。

パンツはおよそ2年前のものになりますが、こうして再度セットアップでのご提案もできるようになりました。

こういったシーズンに流されない楽しみ方ができるのも、ファンの方々が一度ハマると抜け出せない理由の一つなのかもしれません。

SHELTER2  山崎

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